2022/06/11
3177.
「ミミりんヤッホー! 暇? 暇だよね? クレープ食べ行かない?」
「おい勝手に暇って決めつけるなよ。私には部活があるんだぞ」
「え!? ミミりんが部活!? この1年の間に何があったの!!?」
「いや同じクラスなら気付けよ実はお前も結構他人に興味ないだろ」
3178.
「で、何の部活なの?」
「サバ部だ。その名の通り、サバ令嬢の、サバ令嬢による、サバのための部活だ」
「最後だけはサバりんじゃなくて“サバのため”なんだね・・・」
「名目上はな。せっかくだしお前も来てみるか?」
3179.
「よぅみずき兄、遊びに来たぜ」
「“遊びに来た”じゃなくて美々香ちゃんも部員だろうが」
「でもぶっちゃけ大して何もせずに遊ぶ部活じゃん? あと一応マジで遊びに来た奴も一緒だ」
「ミズにぃやっほー! 久しぶり!」
3180.
「ん・・・? 君は確か・・・マドウ・レイヌだったか?」
「佐藤純だよ!!」
「あー悪い、ちょっと間違えた」
「全然“ちょっと”じゃないよ!!!」
3181.
「もう! みんなアタシのことスイーツだと思ってんの!?」
「実際脳内スイーツだろ」
「違うよ! お花畑だよ!」
「どっちでも一緒じゃねーかよ」
3182.
「おや、客人ですか?」
「よぅ服部ぃ。紹介するぜ、こいつは私の友達の・・・」
「佐藤純さんですよね? 同じクラスの」
「凄い! 名前覚えててくれた! 嬉しい!!」
3183.
「ありがとう! 生きててこんな幸せなことなんてない!」
「あの、バカにしてるんですか? 同じクラスなら知ってて当然でしょう」
「やむにやまれる事情があるんだよ! バカ!!」
「ほらバカって言ったやっぱり僕のことバカにしてるじゃないですか」
3184.
「ありがとう! ホントにありがとう! これからキミのこと心を込めて“ハッりん”って呼ばせてもらうね!」
「いや呼ぶなら“タナりん”だろそいつ田中だぞ」
「服部です」
「ていうか美々香ちゃんさっき普通に“よぅ服部”って言ってなかったか?」
3185.
「わかる? わかるよね! 名前間違えられる悲しみが!」
「わかります・・・僕らはきっと、名前を間違えられる星のもとに生まれたのでしょう。これも運命なのです」
「そんな運命ヤダよ! ていうか地球って“名前間違えれる星”なの!?」
「ええ。他者の名前を間違えるなんて愚かな生命体は宇宙広しと言えどこの星ぐらいしかないでしょう」
3186.
「んじゃ、名前間違えられる同盟結成ってことで、これからもジャンジャン間違えていいんだな?」
「良くないよ! てかもうミミりんわざとやってるでしょ!」
「でも間違えられなくなったらなったで寂しくなるだろ?」
「そっ、それは・・・なるかもだけど!」
3187.
「じゃあせっかくだからコイツらに良い名前考えてやろうぜ」
「カワイイのにしてよね!」
「佐藤さんはそれでいいんですか?」
「佐藤って呼ぶの禁止! ありきたり過ぎて気にしてるんだよ!?」
3188.
「はい、まずハッりんから!」
「僕ですか? えっと・・・モンブ・ランコ」
「ダサい! ダサいよハッりん! 甘いもの食べてそのガッチガチな頭を溶かして来て!」
「佐藤さんこそ冷凍庫にでも入ってそのフニャフニャの脳を安定させてはどうですか?」
3189.
「はい次! ミズにぃ!」
「俺か? さっきマドウ・レイヌって言ったんだが」
「ダメ! もっかい!」
「それじゃあ・・・まんじ・ゆうこ」
3190.
「“ゆうこ”は合格! 苗字なんとかして!」
「注文が多いな・・・だったら、かじ・ゆうこ、なんてどうだ?」
「イイね! 実際ありそうじゃん!」
「でも大丈夫か? 純お前脳内糖分ばっかりで果汁なんてゼロだろ? 名前負けしないか?」
3191.
「普段の言動から月の名前の片鱗も感じさせないミミりんがいるから大丈夫だよ!」
「でも名前“じゅん”じゃなくなったら契約切れて明日から出番なくなるけど本当に良いんだな?」
「ダメ!! それだけはダメ!! アタシもハッりんのこと田中って呼ぶから許して!!」
「そんなさらりと僕を犠牲にしないでくれますか?」




