2022/03/06
2792.
「・・・今まで世話になったな。安らかに眠れ」
「何だかんだで、お前のことは案外嫌いだったよ」
「直接会ったのは何回かだけだったけど、いざ永遠の別れとなると名残惜しいわね」
「後のことは、“本作品の良心”たる俺に任せろ」
2793.
「これから共に歩んで行こうと思っていたところでしたので、残念でなりませんわ。 ・・・これで、全員ですわね」
「ああ。親父は仕事、母さんは興味ないとかで来なかった」
「ひでぇ奴らだな作者が死んだってのに」
「大した思い入れがあるワケでもないだろ。親父に至っては大手グループをクビにされて零細に飛ばされたんだから」
2794.
「それで、これからどうするの?」
「法事ってのは、割とみんなで集まって食事することもあるぞ」
「ですが大往生ならともかく、若い方の時には・・・」
「別に作者だからいいだろ。ヤツが死んだところで何に遠慮する必要があるんだよ」
2795.
「実際、ヤツが死んで悲しみにふける人もいないだろ」
「いないな。“本作品の良心”たる俺が言うんだから間違いない」
「“本作品の良心”がなんてひどいことを言うんだ」
「それはそうと、食事にいたしましょう。いずれにしても、何かを食べる必要はありますわ」
2796.
「はぁ~食った食った。さっすがサバ令嬢、いい店知ってんだな。しかも奢りたぁ有難い」
「まあ一応、お世話になった方ですし」
「世界サバ・フィル・ハーモニーは作者によって生み出されたと言っても過言ではないからな」
「過言ですわ。ハーモニーはわたくしどもの家系が代々守り続けてきたものです」
2797.
「今日はこんなトコにしとくかー。作者が死んだところで別に何が変わるワケでもないしな」
「作者に消されるっていう心配要素はなくなるけどな」
「でもこの作品が“人の死ぬコメディ”になったことで別の緊張感が走ることになったな」
「「「「ゴクリ・・・」」」」