2021/03/21
1302.
「なあ」
「どうしたの? 美々香」
「なんか、いつの間にかバレンタインもホワイトデーも終わってたんだが」
「縁がないからよ、あなたには」
1303.
「そう言うみずきだって縁ないだろ。あーでもウチの兄に渡さなかったのか?」
「渡さなかったんじゃなくて渡せなかったのよ・・・だって、いつの間にかバレンタインが終わってたんだから・・・!」
「一緒じゃねーか。やっぱり縁がないんじゃないのか? 諦めろよ」
「諦める? 年に一度のイベントなのよ? 待てと?」
1304.
「じゃあ逆に考えようぜ。バレンタインにチョコを渡そうとすると警戒される。しかし、そうでもない日なら単なる差し入れだ。食ってもらえるだろう」
「差し入れとして渡すことに何の意味があるのよ」
「餌付けができる。あいつは、タダでもらえるものに弱い」
「そうなの? じゃあ作るから手伝って」
1305.
「いや手作りとか重いわ。差し入れの域こえてるだろ」
「じゃあどうしろと?」
「買えよ。その辺のスーパーで」
「えぇ? スーパーで? もっと大きい所にしましょうよ」
1306.
「で、ニオンモールに来たと」
「よし。最低でも3千円で、ラッピングもしてもらって、リボンは別で買って付けて・・・」
「だから重いわ。差し入れって前提忘れてないか?」
「心を込めてこその差し入れでしょう? 渡しさえすればいいなんて考えの美々香とは違うのよ」
1307.
「まあ好きにしろよ。でもほどほどにしないと食ってもらえないからな」
「大丈夫。いざとなったら美々香が強引にお兄さんの口に突っ込んでくれるわよね? 友達なんだから」
「いや怖えーよ。ていうか目的がチョコ食わせることになってんじゃねーか。心を込めてってのはどこ行ったんだよ」
「体内に取り込まないと伝わらないものがあるのよ」
1308.
「だから怖いっつってんだろ。そもそも何で私に託すんだよ。自分で渡せよ」
「嫌よ。美々香んちに寄るのも面倒だし、私が直接渡すと食べてもらえないかも知れないし」
「みずきのバランスがわかんねえ・・・」
「というわけでよろしくね。持つべきものは友達よね」
1309.
「オッスみずき、昨日ぶりだな」
「あ、美々香おはよう。チョコどうだった? 美味しいって言ってもらえた?」
「そりゃもうウマかったぜ? みずきの思いを噛みしめて、体内に取り込んで、それをきっちり兄に伝えさせてもらったぜ? 持つべきものは友だな!」
「・・・・・・放課後、体育館裏に来なさい」




