2021/03/27
1310.
「みずきー! 野球しようぜー!」
「ん、おう美々香ちゃん。悪いがみずきは出掛けてるぞ」
「は? なんで?」
「さあ。大方、買いもしないブランドの服でも見に行ってるんだろう」
1311.
「ふーん、まいっか。私も適当にブラつこ」
「ちょっと待った。暇なら上がっていかないか?」
「ん? なんかあんのか?」
「通販で牛乳の数をひとケタ間違えて買っちまってな。消化に苦労してるんだ」
1312.
「はぁ? 牛乳10本? アホかよ」
「違う、30本だ。うちは親と、じーさんばーさんもよく飲むからな、週で3本買ってる」
「あと27本はどうすんだよ」
「飲む。我が家において牛乳を捨てることは許されない。みんな腹を下してでも飲む構えだ」
1313.
「いや体張りすぎだろ。もう素直におすそ分けしろよ。タダなら引き取ってもらえるだろ」
「それをいま親とじーさんばーさんで奮闘中だ。だが、周りもみんな通販で発注済みらしくて難航している」
「そんな中みずきは優雅にショッピングかよ」
「俺たちは牛乳飲まないからな。俺も呑気にゲームしてるし」
1314.
「んじゃ、私らも優雅にティータイム、いやミルクタイムだな」
「ミルクティーならできるぞ? あと、コーヒーにココア、それからシリアル。とにかく色々と揃えた。ココアは11袋届いたがな」
「お前ら愉快すぎんだろ・・・」
「笑ってくれ。その方が楽になる」
1315.
「ココアはその場のミスとして、なんでいつも買ってる牛乳で数を間違えるんだよ」
「爺さんがネットに興味を示してな。親父が教えようとしたんだが、全部自分でやるの一点張りでな。届いてみればこの有り様だ」
「爺さん・・・」
「こういうミスり方よくやるんだよあの爺さん」
1316.
「ま、事故ったのが牛乳で良かったな。ブランドの服でそれやったら家計死んでたぞ?」
「爺さんの喜寿祝いの高級寿司でそれをやったのが親父だ」
「血ぃ争えなさ過ぎるだろ・・・」
「良い反面教師を身近に持ったと思うことにしている」
1317.
「ただいまー。あ、美々香じゃん。どうしたの?」
「牛乳が30個届いて困ってるって聞いたから手伝いに来てやったんだよ。感謝しな」
「そうなの? てっきり暇つぶしに野球にでも誘いに来たのかと思ったわ」
「お前らそんな頻繁に野球してるのか?」
1318.
「みずきも飲めよ。お前んちの牛乳だろ」
「嫌よ。お爺ちゃんのミスなんだから本人で何とかしてもらわないと」
「血も涙もねぇな」
「血は繋がってるんだけどな」




