気弱な鍛冶師
「あ、あの……ほ、本当にここで鍛冶をするんですか……?鍛冶の設備とか何も無いんですが……あ、す、すみません!差し出がましい事を!」
何か凄い自信なさそうな人が来た。まぁ、確かにこの島鍛冶の設備とか無いもんな……
「えー!?新天地で実力を発揮したいって言ったのは貴方じゃないですか~?」
「そ、そうは言いましたけど……」
これは自分で来たというよりはチェルシーさんに連れてこられたって感じが凄いぞ?
「えっと……せめて炉が無いと何も……」
「炉……石とか組めば何とかなる?」
「えっと、流石に金属を扱いたいので、耐火のレンガとか使いたいなって……あ、すいません!」
これはギャルの2人が相手だからビビってるのかな?にしても、女性の鍛冶師か。勝手な偏見だけど、何となく威力よりも特殊能力とかの方に力を入れてそう
「ていうかチェルシーさん!そこに居る人って……」
「ハチさんですよ?」
「ホワッ!?」
「あ、どうも……でもこの島は僕の持ち物じゃなくてこの2人の持ち物なんですよ。僕はアドバイザーみたいな立ち位置ですかね?」
色々協力はしてるけど、多分その位の立ち位置だと思う
「アドバイザーって言うより、親方?」
「実質保護者?」
「勝手に言ってるだけですから……えっと耐火レンガでしたっけ。多分用意出来ると思います。必要なら生産してきますが、どうします?」
「え、ホントですか!?金床はあるんですが、炉だけはどうしようもなくて……」
そうなると、ウチの生産部門にミスリル含有の耐火レンガを頼むか
「それじゃあ、大体のサイズ感とか教えて貰えれば必要分揃えて来るんで、どの程度のサイズで行くのか教えて下さい」
「い、良いんですか!?」
「まぁ、この島の発展に協力してるのもありますけど、多分これは2人にも、あと貴方にとっても良い事だと思いますし?」
鍛冶師の伝手が増えるのは普通にありがたいし、いざという時に僕の方でも協力してもらえる様に恩を売っておくのはアリだろう。その場で清算せずに、後に引っ張って置く事で、実質的に利子を付けて貰うみたいな感じで悪いけど、まぁ、その取り立て?みたいなのも僕が困ったときまでは特に何もないから一応はほぼノーリスクだと思う
「ハチさんに協力してもらえるなんて……ほ、本当に良いんですか!?」
「まぁ、ある意味投資?みたいな物だと思ってくれれば良いかな。チェルシーさんが連れて来るって事は本当に腕が良いと思うけど、この場じゃその腕を見せる場も無いからね。どっちにしてもさっきの計画を実行する為には炉は必須だから。君がキチンとここで腰を据えてやって行くならその炉の使用権を譲るって形になるかな。2人としてもそれでどう?」
「一応は私達の持ち物になるって事?」
「そこから、鍛冶師の人に貸出す……オッケー!」
まぁ、利用料を取るかどうかは置いておくとして、そうしておけば、人が入れ替わったとしても、次の人が使う事が出来るだろう
「という訳でちょっと行って来るから、サイズの要望は?」
「え、えっと……だ、大体こんな感じで……」
そう言われて出された図を確認して、オートマニュアイランドの方に行く
「どうかな?ゴーグルでデータ自体は先に送ったけど……」
「あの規模感ですと、30分後には必要分はご用意出来ます」
「え?そんな早いの?」
「協力者が沢山居ますし、ハチ様からもたらされた力もありますので」
どうやら熱操作の力辺りがこの超短い生産時間の秘密っぽい。うーん……流石に炉に熱操作の何かしらを付けようとしたら多分魔力の方が先に無くなりそうだし、それはやめておいた方が良いか
「ハチ様の作業スペースでしたら、既に改修済みで鍛冶を行う際にもすぐに行えますが、こちらは熱操作機能は如何致しましょう?」
「それ付けたらかなり魔力消費しない?多分メインで使う人は魔力の自動回復能力は流石に僕程は無いと思うから、実用的じゃなくなっちゃうかなって……」
「了解しました。使いやすさ重視ですね。炉を組み立てる時はこちらのリペアリキッドを用いたリペアモルタルを使う事で、耐火性も保温性もしっかり確保出来ます」
ほうほう、確かにリペアリキッドは掛けた部分の素材に同化して修復するし、似た性質を持ったそれを使えば炉としての機能をしっかり果たせる訳か
「一応、炉はこれで出来るんなら良いんだけど、金床とか、ハンマーみたいな鍛冶道具って追加で作れたりする?」
「鍛冶道具でしたら、アダマンタイトやオリハルコンを使用した物を製作可能です。スライム達の協力により1セット程度ならすぐにご用意出来ます」
やっぱりなんだかんだ言って空島も凄いけど、こっちの島が一番ヤバい気がする。空島はエンタメ方面に強いけど、コッチは軍事とか建設とかそっち方面の強さが尋常じゃない
「分かった。それじゃあ、一応1セット作って貰っても良いかな」
僕も流石にこれだけ良い物はタダであげるつもりは無い。あの2人に一度託して、しっかり信頼関係や信用が出来てから渡す様にしてもらおう。僕も道具の一部を持っておいて、僕の依頼を達成出来たら報酬として渡すでも良いかな?




