歪な新人歓迎
「はーい、持ってきました。それじゃあこの図の形で建てますね。鍛冶場はここで良いかな?」
一応、既に建物自体はあるから、鍛冶場としての炉をどこに置くかみたいな物を決めるだけの状態だったし、設計図通りに作るのは簡単だ。いやぁ、これがゲームじゃ無かったら鍛冶場の炉を建てるとかとんでもない時間が掛かる所だよこれ?
「こ、こんなに早く……あ、はい。そこで大丈夫です……」
「ちょ、ハチさんこれってもしかしてアレ含有してますか!?」
「ええ、長く使う事とか、ここで出て来るだろう物を加工する事を考えたらこの程度は最低限必要かなって」
「最低限が高過ぎる……」
「あ、あの!この耐火レンガって、なんか含んでたりします?なんか見た事無い耐火レンガだなと……」
「これ?これは粉末ミスリルを配合してある耐火レンガだから、魔法で加熱してもかなり耐えられるハズだから、色々な金属が相手でも溶かせると思うよ」
「あ、ヤバい。急に鳥肌立って来た……師事してた所と比べたらとんでもないここ」
「それと、一応これ2人に渡しておくけど、この人が信用、信頼出来るってなったら渡してあげて」
「「ん!分かった!」」
唐突に怯えた様に縮こまっている鍛冶師を横目に出来上がったアダマンタイトやオリハルコンを使った道具をキララさんとホノカさんに渡しておく。これで信用を勝ち得たらここで更なる良い物が……
「それじゃあアンヴィちゃん!これから頑張ってね!」
「え?」
「期待してるよ!私達の装備も作ってくれると助かるよ!」
「は?」
あーらら、もう渡しちゃったか。僕達が耐火レンガを作ってた間に仲良くなったのかな?
「一応、2人には信用、信頼したら渡してとは言ったんですけど、どうやらもう信用と信頼関係は築かれてたみたいですね……」
「そりゃそうだよ!私達の島の新しい仲間なんだし!」
「うんうん!これから一緒に頑張って行こう!」
「うぅ……絶対に頑張ります!キララさんとホノカさんの力になります!」
まぁ、僕が何か言わなくてもそれだけやる気に溢れてるなら良いか
「あ、因みにそれの先端部分とかはアダマンタイトのハンマーとか、オリハルコンの火ばさみだったりするから。これからも頑張って。僕もちょっと依頼したい事があるから、それが出来ればそうだね。ピュアミスリルのヤスリとか砥石を進呈しよう」
「あばばばばば……」
急に手に持った道具を見て震え出すアンヴィさん。なんか面白いな?
「ね、言ったでしょう?ハチさんが関わってる以上、油断しちゃダメだって……」
「こんな、いやこんなの予想出来る訳が!?」
チェルシーさんがアンヴィさんの後ろから寄って来た。まぁ、何となくこうなるとは予想してたな?
「なんだかんだハチさんは初心者とかには優しいですからね。一方的に自分の要求を無報酬で押し付けて来る相手でも無ければ、ハチさんは凄い優しいですよ?」
「一方的に押し付けて来る……チェルシーさんかな?」
「いや、ちょっと!?流石にそんな事はしてないですよ!?」
まぁ、ここは一旦の話の落としどころとしてチェルシーさんを使わせてもらおう
「さて、それじゃあアンヴィさん?せっかく新しい道具を得た訳だし、早速何か作って貰おうかな?」
「えっ!?」
「いやいや、鍛冶師ならまずは腕を見せてもらわないと……」
作った作品があるならそれを見せて貰うとかでも良いと思うけど、この場で何か作ってくれるのが一番分かりやすい
「えっと、何が良いでしょうか?」
「何でも良いよ。剣でもナイフでも、日用品でも。まぁ、すぐに作れる物ならお任せするよ。素材は……さっき手に入った鉄を使わせてもらっても良いですか?」
「「オッケー!」」
これで一応ジオードから得た素材で物が作れるかどうかと、それで作った物の出来を確認出来る
「えっと……一応いつもレベル上げとかの為に作ってる投げる用のナイフです……道具が良いのかいつもより良い出来だと思い……ます」
「おぉ……良いねぇ?」
普通のナイフと違い、スローイングナイフと呼ばれるタイプのナイフだろう、両刃のナイフだし、突き刺すのにもしっかり使えそうだ。前後のバランスもかなり良さそうで投げるのにも安定しそう
「それじゃあ、キララさんかホノカさん……いや、確かチェルシーさんって忍者でしたっけ?ならチェルシーさんの方が得意かな?ちょっと投げてみて下さい」
「了解です!では、早速……ふっ!」
チェルシーさんの手から離れたナイフは建物の入口から真っすぐ外に出て行って、一本の木にしっかりと突き刺さっていた
「これは、普通に使えそうですね。そうですね……鉄じゃなくて鋼製の物を20本位注文したいですね」
「えっ!?」
「しっかりお金は払いますよ?」
「あ、ありがとうございます!」
なるほどね。チェルシーさんもこれはアリだと思ってる訳か。良いじゃないの。独り立ちした才能ある新人を早速キャッチした訳だ
「そうだなぁ……じゃあ、これを使ってさっきと同じ物を試しに作ってみて」
「はい!……はい?」
ミスリルのインゴットを置いたらさっきまでのやる気に満ちていた表情から絶望の表情に変わっていた
「せっかくソレが扱える環境があるのなら、やってみなきゃ。ほらほら、チャンスだぞー。今ならミスリルやらオリハルコン、アダマンタイトを含有したヤスリと砥石も貸してあげよう」
さぁ、これを使ってしっかりとミスリルスローイングナイフを作れたなら……この子の才能は本物じゃないかな?




