本音
「いやぁ、超快適!」
「溶岩で暖を取り、永久凍土の氷を溶かして水を飲む。砂漠のサソリを捕まえたかと思ったら、それを喰うとは……」
「そんな事言いつつ、僕が用意したハンモックで木陰でゆらゆら優雅に過ごしてるのは誰ですか?」
「ふっ、人の子。細かな事じゃないか」
一応見える範囲を歩いて、使えそうな物を集めてみたけど、料理関係とかサーマルパンを使っても良かったけど、やっぱり現地調達が楽しいから、熱々の溶岩石を真淵を使って持ってきて、簡易かまどを作り、永久凍土の方からフィフスターで取って来た氷をかまどで溶かして飲み水にする。川は流れてるけど、やっぱり何というか、古代の味的な?そういう方が気になってしまった。
「一応、僕はサバイバルする気ですけど、ダアトさんをそれに巻き込むなら多少は良い環境でとは思ったけど……くつろぎ過ぎじゃないかなぁ……」
一応、インベントリに作り置きの食材やら飲み物はあるから、それをダアトさんに提供したら、まるで南国でバカンスするみたいにドリンクを飲みながらハンモックで風に揺られている
「食い物を用意しているのに、態々そのような物を食べるのは意味が分からないのだが?人の子よ」
「サバイバルをするならこういう食べ物だって自分で現地で獲って食べるべきでしょう。それこそがサバイバル!このサソリも火を通すとエビっぽくて美味しいですよ?」
意外と身がぷりぷりしてる。意外だなぁ……毒腺らしき物も背ワタみたいな感じで取れたからこれはサソリは美味いぞぉ?
「おっ!?足の方は蟹みたいな味だ。コイツぅ……この地で魚介類の介部分を一人でカバーする気か?最高だな!」
このサソリは今回のサバイバルの主食になりそうだ!
「ラータも食べる?」
「んー!食べるー!」
勿論、独り占めはしない。他にも食べたい人が居るなら用意しよう
「これは砂漠はもっと調べた方が良いかもしれないな……」
今回はサソリにしたけど、普通に見た事無いのも居たからサソリがこんな魚介類みたいな味をしているのなら、あそこは砂漠と言うよりは砂海と言った方が良いのかもしれない。砂場で釣りとかもしてみるか?
「これだけ美味い物が作れるのに、何故あのような得体の知れない物を食べようとするのか……人の子の思考は分からんな?」
「僕はあくまでも今までの歴史の中で作られて来た料理という教科書を見て作っているに過ぎません。そこで色々な調理の仕方や食材を知り、食べています。ダアトさんに出した物もその産物ですね」
勿論変な物と言われそうな物は使っていない
「でも、それだって色々な研鑽や実験があったからこそ生まれて、今はポピュラーな物になっています。でも、その中にはあまり大衆には受け入れられなかった物だってあると思います」
「……」
腐らせた物、毒を持っている物、岩から削り出す物。世の中には色んな食べ物があるし、一般的にはそれは受け入れがたい物だってある
「僕はそういう発見をした人は凄いと思います。そういうチャレンジ精神は真似したいなって。だからこういう物を食べて美味しいかどうか、知りたいって思うんです」
「未知への興味と言う事か?」
「そうですね!もしかしたら美味しい物が新しく見つかって皆の食卓に並ぶ新しい定番の品を発見出来るかもしれない。食べる事で新しい何かを見つけられるかもしれない。いざと言う時の備えになるかもしれない。そう……ただ生きるだけなら簡単です。でも、どう生きるかはそれぞれが決めるしかない。人に流されるのか、己で切り開くのか、導くのか、導かれるのか。どう生きるかはその人次第ですし、生きる為の手段や目的は何処にあるか分からないですからね!」
誰かの為に生きたいって人も居れば、自分の為に生きたいって人も居る。他の人と同じ様に生きるのが楽で良いって人も居れば、自分は自分の道を征くという人だって居る。そういうキッカケの1つとして、食がある
「僕は僕が楽しくなる様に生きたい。だからこそ、気になった物は調べてみたいし、邪魔をされるなら倒すし、面白そうなら協力する。割と自分勝手な生き物なんですよ」
「良い。実に自分勝手だ。人の子はそうでなくては」
「ん?」
「他人の顔色を窺うだけの人の子はつまらんと思っていた所だ。もっと、本音を曝け出してみろ」
本音かぁ……難しい所だ。僕の本音って何なんだろう?
「何故、他者の顔色を窺う?」
「うーん、僕が顔色を窺う相手となると、僕に有益な存在。敵対すると面倒だからかな?」
「良い!次だ。何故本気を出せば倒して従わせる事が出来る者共と対等に生活している?」
「それは島民の事かな。僕は別に最強になりたい訳じゃない。多分自重しなければそういう存在になる事は出来るかもしれないけど、そうなると多分誰も横には立ってくれない。後ろに立つだけで僕は孤立する。僕は1人になりたい訳じゃない……あぁ、多分そうだ。1人で色々出来るけど、1人ぼっちにはなりたくないんだ僕」
ダアトさんに話す事で何か僕の本当の願いみたいな物が出て来たかもしれない
「良いぞ良いぞ。人の子の本性が見えて来た」
「ダアトさんは?」
「ん?」
「いや、僕の本音を聞きたいって言ったけどダアトさんの本音も聞きたいなって。今の僕を見てどう思う?」




