砂漠を泳ぐもの
「今の人の子を見てどう思うか……そうだな。やはりあの地で生まれて良かったと思うぞ」
「空島でメビウスツリーが生えた事が良かったって事?」
「あぁ、生物はどう生きるにしても周りに影響を受ける物だ。それは人も植物も変わりあるまい」
まぁ、人間は確かに、他の人の影響だったり、育った環境で影響は受けるだろう。長いスパンで見れば植物も種子をより遠くに飛ばすやり方とか変わったりするから、同じ様な事って言って良いのかな?
「だからこそ、この様な善も悪も使いこなす人の子が島の主である人の子の下で根を降ろせた事が喜ばしい事だと言えるのだ」
善も悪も使いこなす……そう言われると大分極悪人な気がするなぁ……
「えっと……善と悪を使いこなせる?僕の下だと何が良いんでしょう?」
正直よく分かってない。だからこそ聞くしかないよなぁ……
「己こそが正義だと宣う小僧も居れば、自身が世界を征服する巨悪だと宣う童も居た。だが、その者達がどうなったか知っているか?」
「えーっと……まぁ、どっちかが負けたんですかね?」
聞く限りだと、勇者と魔王みたいな感じだと思うけど……
「正義の小僧は巨悪を倒し、自身が王となった。だが、その後は酷い物だ。堕落して欲深く、最悪の王とも後に言われる様になった。勿論、そんな者の最期は市民達によって終わらされたがな?」
あれまぁ……なんという分かりやすい闇落ちエンド……
「逆に巨悪と宣った童は、戦いに負けたが、何とか一命を取り留め、残った仲間達と静かに余生を過ごした。残った少数では世界を征服するなど疲れるだけだと、悟ったからな」
こっちは隠居で幸せエンドか
「自身が正義か悪かを己で考えている時点で間違いなのだ。運命に振り回されているに過ぎない者が、未来を決める事など出来やしない」
まぁ、正義感はある意味免罪符というか、自分が正義だったら何をしても良いみたいな歯止めを利かなくしちゃう危ない一面はあるだろう。勿論、悪い事をしようと決めるのも自分自身だけど……
「そんな者達を見て来たからこそ、人の子。運命を振り回すお前の近くに居られる事が面白くて嬉しいのだ」
「運命を振り回す……」
運営の事かなぁ?
「正義と悪を使い分けられる。そして、分別もある。この世界を創る事も壊す事も出来るお前だからこそ、この世界の行く末がどうなるのか近くで見られる空島という特等席を得た事。これが嬉しい以外何があろうか」
まぁ、そう言って貰えるのは嬉しいけど、大分僕のやって来た事を思い返すと悪寄りな気がするけど……いや、犯罪とかはしてない……してないよね?
「くっくっく、いや、変に言い過ぎて行動の邪魔をしても良くないか。ハチ。お前の好きなように世界を遊べ。私はそれを見るのが面白くて好きなのだ」
「あっ、それなら出来ますね!難しく考えちゃいました。それじゃあ早速新しい食材探しに行きましょう!」
今のままで良いって事なら今まで通り遊ばせて貰いましょうか!待ってろ砂海の美味い奴ら!
「その無茶苦茶で慌てふためく運命を見るのが好きなんだ……」
動き出す前にダアトさんが言った言葉は深く考えない事にしたけど、まぁダアトさんも好きな物が有って、僕の行動でそれを満たせてるのなら良いか
「フィーッシュ!」
砂に向かって釣り竿を使ってみたら、まさかのヒット。竿が引いてますよコレェ!
「おぉ!本当にヒットするとは思ってなかった!糸は僕が出した切れない糸だからねぇ?純粋に勝負だ!」
リールを巻きながら進んで行く。流砂があっても紫電ボードのお陰で浮いてられるからね
「おぉ……これはこれで何かウェイクボードっぽいかも!」
砂の中を進んでいる何かが餌に喰い付いたみたいだし、紫電ボードと釣り竿で繋がっている何かが引っ張るから砂の上で引っ張られながらサーフィンしている様な状態だから、水上バイクに繋がった紐で引っ張られるウェイクボードに似ているかもしれない
「これは食べ応えありそうだな!」
「さっきから食べ物の事ばかりではないか?人の子」
「普段ならそこまで気にしませんが、今はサバイバル中ですからね!貴重なタンパク質の可能性があるなら逃がしませんよ!」
そう、忘れちゃいけないが、今はサバイバルをしている最中だ。どう考えても大物の気配しかしないこれを逃す手は無い!
「さぁ、どんな奴なのか、姿を見せて見ろ!ポン君!」
「はいよー」
ポン君ブーストで筋力を増強して、砂の中を進む奴の進路を上向きにしてみる
「おぉー!これはデカい!」
「あ、あれを喰うのか!?」
砂の中から出て来たのは5~6mはありそうなニョロッとした奴。一瞬砂漠のデカいミミズかと思ったけど、特徴的な口と、目と思える物が8つ並んでいるのを見たら、僕にはアレにしか見えなかった
「ヤツメウナギだ!まさかのウナギが食べられるかもしれないのは大チャンス!」
まぁ、ヤツメウナギはウナギでは無いっていう話らしいが、今はそんな事は関係ない。僕の中であれはもう食べると決めた相手だ。絶対に捕まえてやる!




