温泉到着
「3、2、1、GO!」
ファーカインの掛け声と共に全員がスタートする。言うだけあって、トロッコや蜘蛛やパンダが先行する。中々早いなぁ……
「出遅れたが、どうせハチも同じ事を考えているのだろう?」
「あ、わかっちゃいます?」
「そりゃあ、一度勝負しているからな!」
これからする事は多分凄い意見が分かれる事だろうけど、まぁ、妨害はしてないからね
「「はぁ!」」
初っ端からカーブの地点で飛んで折り返した先の地点に飛び降りていく。スーパーショートカットだ
「何だアイツら!?俺のトロッコが圧倒的に置いて行かれる!?ピストン1つ止まってんじゃねぇのか!?」
「肝心な所でアンダー(下のレーン)に!?」
「やれる!いっけー!俺の86ぅ!あ、流石に無理そう?そっかぁ……」
申し訳ないが普通にレースするつもりは無い。パンダも蜘蛛もジャンプして下のコースに行くのを怖がっている。まぁ、体が大きいとその分落下した時の負荷もデカいしなぁ……
「さて、ショートカット出来るのもここまでって事で、ここからは普通に勝負ですね」
「あぁ!」
まるでスキーとは思えない速さで滑って行くスカディさん。イグニスの作ったコースはスキーにも対応しているのか、しっかり側面のエッジが効いて物凄いカーブを決めていく
「なら、僕は……」
真淵を出し、コースの端の部分に引っ掛ける様にして強制的に曲がるこれなら遠心力で膨らむ事も無いから、体に負担を掛けるだけでロスが出ない
「って、このコース最後にジャンプ台ないかあれ?」
「なっ、道が途切れているぞ!?」
何かいつの間にかコースの最後の形が変わっている気がする。これはイグニスやったなぁ?
『折角ですから、何か決めちゃってくださいっス!』
何かメガホンみたいな感じで声が聞こえる。レースだって言ってるのになぁ?しゃーない。一丁やってやりますかぁ!
「捻りだけなら【バリアント細胞】で加速すれば行けるか……」
スピードは申し分ない。しっかり加速した状態のままあのジャンプ台に突っ込め!
「ほっ!」
踏み切る瞬間に体を捻り、魔力も込めて滞空時間を伸ばす。それで体を一気に回転させると……
「何て回転だ?!」
「7,8,9……15回転以上してるぞあれ!?」
まぁ、そんな事の為に滞空時間を伸ばしたり、回転してたら当然だが、スカディさんは僕の姿に呆気にとられながら最小のジャンプで通り過ぎていくのを回転する視界の中で見送るしか無かった
「負けちった……」
「いや、あれは……まぁ、レースでは私の勝ちだが、他の人を楽しませたという面ではハチの勝ちだろうな。ここは引き分けという事にしておこう」
ありがてぇ……のせられたとは言え、普通にレースで勝負してるんだから、変にトリックを決めるにしても宙返り一回とかにしておけば良かっただけだし……あれは僕がエンタメに力を振り過ぎたせいだから、引き分けと言ってもらえるのは助かる
「これは今後こういう競技も行けそうだな!」
「ゲームの中だからこそ、リアルじゃ出来ねぇトリックが決められるか……これは面白れぇかも!」
「逆にレースの中でああいうジャンプポイントが複数あるレースも面白そうだな!」
ここは今後も面白い事になりそうだなぁ……
「いやはや、凄いね?」
「まぁ、こんな感じで皆で遊んだりしてる所もあるんだ。因みにあの2人はドラゴンだよ」
「「ファッ!?」」
今は人形態だからなぁ?そりゃあ驚くか
「さて、それじゃあ先を行こうか。フォヴォス、ファーカイン、イグニス。レース面白かったよ。また今度やろう。流石にあのショートカットは封印するけどね……」
「アレは流石にな……」
「コース関係なくなっちまうもんな!」
「今度はああいうショートカットされないコースを作るっすよ!」
何かとんでもないバンク(傾斜)が付いたコースとか出来そうだなぁ……
「と言う事で、温泉まで辿り付いたけど……」
「この島は見たい所が多過ぎる!」
「見てるだけで楽しいのにまだ色々あるんだね!」
この2人のはしゃぎ様。まぁ、普段雪しかないシクサームの周辺からしたらここはとんでもなく色々あるからなぁ……
「まぁ、ここでセッカさんが働いてるけど……2人はどうする?温泉は入る?それとも、セッカさんの所にそのまま行く?温泉に入るなら、あそこが脱衣所になってるけど……」
改めて見ても男女の暖簾の間に「ハチ」って書いてあるの違和感しかないなぁ?
「折角だし、温泉も楽しませてもらおう」
「そうだね。まぁ、僕はこれは脱ぐとか無いけど……」
スカディさんのは装備品みたいだけど、ジャックは鱗みたいな服も自分の一部タイプだから、脱ぐって事では無いみたいだ
「という訳で、温泉にいらっしゃい」
「「おぉ……」」
もしかしたらシクサームの周りに野生の……というか自然の温泉があるかもしれないけど、まぁ、これもこれで良いだろう
「セッカさんはサウナの所で働いてるけど……その前に一旦温泉入ってから行こうか」
もう2人の目が完全に温泉にロックオンしてるし、これで後回しは無いだろう




