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4月25日 

チュンチュン…

朝が来た…



結局、僕は一睡も出来なかった。


目を閉じるとあの光景が目に浮かぶからだ。




はぁ…と大きなため息を着く。



田中の方へ視線をやると、田中は起きていたのかぼーっと天井を眺めて居た。



「眠れた…?」


僕がそう聞くと、田中は首を横に振った。



「だよな‥」



モソモソと田中が起きる。



「飯、行こうか…」



僕がそう言うと田中はコクリと頷いた。



あの田中がここまで落ち込んでいるのかと思うと

やはり昨夜の事は夢ではなかったのだと…



思い知らされた。








「あらぁ、やけに静かね~。どうしちゃったの??

ほら、賢治も田中君もしっかり食べて。」




結局、僕も田中も2口ほど食べただけで、食事は喉を通らなかった。





「なあ…今日はどうする‥?」

田中が口を開く。




「バイトだしな…。」




「俺、外出たくないわ‥」




「僕もだけど、2人とも休んだらマズイだろ‥」




「はぁ…だよな…」



田中は大きくため息を着いた。



実際バイトどころではなかったけれど、仕事に穴を開けるわけにも行かなく



僕達はバイトに行く準備をした。




コンビニに着いて、僕達は言葉も発する事なく黙々と仕事をする。



田中も無言で働いていた。


動いている方が忘れられていいんだ。



今日は時間が随分長く感じた。



時計を見る。



時計は15時20分を差していた。




「先輩~!お疲れさまでーす!!」



三浦さんが入って来た。



「お疲れ。」

僕は小さく返すと



「今日はねー私、バイトじゃないんだ~フリーなの!」





「へぇ…」

僕は伝票を整理しながら引き継ぎの準備をした。




「え?まじでー。ねね、明里ちゃん、カラオケにでも行こうよ!」

田中が息を吹き返したかのように話し出す。



やはり田中だ。立ち直りも早い…



「賢治も行くよな!」田中がバンと背中を叩く。


田中が小声で「あの事は忘れろ、今は忘れる事が先決だ。」と

言ってきた。




僕もコクリと頷く。




「わかった。行くよ。」

と答えたら



三浦さんはキャッキャッとはしゃいでいた。




引き継ぎの人に代わり、僕と田中と三浦さんはコンビニを後にした。


この時間になるといつもの癖で時間が気になる‥



15時40分


15時45分…



「賢治…時計は気にするな。早く忘れろ」

田中がそういって僕の腕時計を手で覆った。



「何々~?どーしたの??としこさんと何かあったのー?」



田中の顔が引きつる…


田中と三浦さんの間で勝手に決めつけられた名前に反論する気分もなく…


「登紀子」とも「としこ」とも今は聞きたくもなかった。



「なんでもない。だからその名前は呼ばないでくれ。」

僕は三浦さんに言い返す。



「ふーん。そうなんだ。解った、振られたんでしょー。」

三浦さんはなんだか嬉しそうにしていた。



近くのカラオケボックスに着き、田中と三浦さんは曲を選び出す。


こんな時に歌える田中の精神はやはりスゴイと思った。




チラリと時計へと目をやる。



15時59分



あと1分で彼女はあそこに来るだろう…。



時計の針が16時を差した。



彼女は…




やっぱり僕を待っているのだろうか…。




「おい!!賢治も歌えって!!」



田中が無理やりマイクを持たせる。


歌いたい気分ではまったくなかったけれど…


彼女を忘れる為に必死で歌った。




5分、10分と時間が経ち‥


16時25分になっていた。





毎日、僕が大切にしていた時間が過ぎていく。






彼女は…

あの時の様に、ボロボロと涙を流し僕を待っているのだろうか…。




田中の雑音ともとれない歌が聞こえる中、

三浦さんが僕に話しかけてくる。




「ねえ、先輩。先輩はもうフリーだよね?私と付き合いませんか?」




あの卒業式の純粋そうなおさげの三浦さんとは別人の様に積極的だ…


僕はそう思いながら…



「いいよ。」と返した。



「本当??やったー!!!」三浦さんはテンションが上がったのか

もう1つのマイクを手にとり田中とデュエットを始めた。





今は…


なんでもいい…忘れられるのなら‥忘れる事が出来るのなら‥






時計は18時を差していた。






「あー楽しかった!!」

三浦さんが僕の腕に腕を絡ませてくる。



「ちょ!!えっ?なに?なに?!そーゆうこと??」

田中が妙なテンションで僕達の腕を指さす。



「うん!そーなの!!そーゆーこと!ね、先輩。」

三浦さんが僕の顔を覗きこみ笑顔になる。



「嘘だろーまじかよー!俺ハミゴじゃーん。」

田中が叫んでいたけれど、


無視した。





「先輩、今日は送ってくれてありがとう。」

三浦さんがペコリと頭を下げた。



「いや。別に…」

と僕は言いつつも…



やっぱり僕の頭の中で彼女の泣き顔が頭に浮かんでいた…。




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