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4月12日

昨日は長い1日だった。たった1日会えないだけで…。


今日からバイトだ。


今の僕は勉強に仕事に恋にと輝いている気がする。


田中の言った通り、受験に失敗して良かったのかもしれないな…


フッと笑顔になっている自分に気がついた。


まあ、田中の言った通りってのが気に食わないが…。






コンビニにつくと、大田さんという人とそこそこ可愛い女子高生が居た。


どこかで見た記憶がある。




「私、三浦明里みうらあかりと言います。」そう言って頭を下げた女の子は

あの卒業式の時に僕に手紙を渡して来た子だった。




「あ。。僕は立花賢治です‥よろ…」

よろしくと言いかけた時に





「知ってます!立花さん、あの、私の事覚えてますか?」

と聞かれてしまった。




「え、まあ…はい…。」

僕は少し気まずくなったが、




「覚えていてくれて嬉しいです。」と三浦さんは言った。




「私ここでは先輩だけど、気にせず敬語なんて使わないで下さいね!後解らないことは何でも聞いて下さいね!」


そう言って、あの時から少し茶色くなったポニーテールを揺らしながら歩いていった。



明るい子だな…。




あの明るさが、もう少し登紀子さんにもあればいいのにな。




なんて思いながら僕は初めてのレジ打ちに挑戦した。




時計を見ると15時35分を回っていた。




「すいません。僕はこれで上がります。お疲れ様でした!!」




僕は急いで荷物をリュックに詰め込んだ。




「あっ‥先輩!!」



店を出ようとすると三浦さんに呼び止められた。




「はい。何?」僕はイライラを悟られまいと三浦さんに笑顔を振りまいた。

一応仕事仲間だしな…。




「先輩、アドレス交換しませんか?これから仕事も一緒だし何かと便利な事もあるかもしれないし…」




「ああ、いいよ。」

僕はハイっと言って携帯を渡した。




「私の言いますから登録してくださいよ~」

三浦さんはニコニコと僕に言ってくる。




「どっちでもいいから登録して、時間がないんだ。」




「じゃあ、赤外線にします?それとも手打ちの方がいいかなー?あ、でも赤外線の方がいいか~。えっと、どれだっけ…」




三浦さんは時間を稼ごうとしているのかわざとらしく、僕の携帯と自分の携帯をあれこれいじくる。





時計を見る。15時45分。





ここから猛スピードで帰ったところで20分はかかる。

おいおい‥早くしてくれよ…。




「あ、あのう…明日じゃだめかな??僕、今日は急いでいるんだ」




「明日はダメなんですぅ。平日だし学校あるし‥」少しふくれっ面になった

三浦さんは、ああでもないこうでもないと言いながら携帯をいじっていた。




「出来た!はい。これどうぞ」三浦さんからやっと携帯を返してもらった。




「あ、私のアドレスちゃんと入っているか確認しときましょ。」

そう言ってもう1度僕の携帯をひったくる。




「…オッケー!いつでもメールしてくださいね。私すぐ返事返しちゃいますから。」

ふふっと笑顔を振りまいた三浦さんが少し憎く思えた…。



時計を見ると15時55分。




クソッ!!!15分もオーバーしてしまったじゃないか。

しかも1日ぶりだと言うのにたった15分しか一緒に居られないとか…





ツイてない‥。


僕の大切な時間を…


バイトなんてやめときゃ良かった…。







僕はヘトヘトになりながら自転車を漕いだ。




ああ、でも、お金を貯めたらまずはバイクを買うのもいいかもしれないな…。




やっとあの橋が見えて来た。




登紀子さんはあのベンチに座っていた。



「ハァハァ…登紀子さ…ん!」

後、10m程で近づくと思ったら思わず声が出てしまった。




僕の声が聞こえたのか、登紀子さんはベンチから立った。





「ハァハァ…す、すいません‥遅くなっちゃって‥バイトが…」

そう言いかけた時に登紀子さんの顔を見ると…。









顔をグチャグチャにして泣いていた。


ボロボロと涙を流しながら…





「‥えっ…すっすいません…本当に。時間に遅れてしまって…」

僕が泣かせてしまったのかと思うと本当に申し訳なくなった。





「…もう来てくれないのかと思いました…」

登紀子さんは涙をこらえながらそう呟いた。




思わず、僕は登紀子さんを抱きしめた。




「遅れても必ず会いに来ますから。登紀子さんが大丈夫な日なら必ず‥。

だから心配しないで待っていてください。」




「はい‥」




僕は登紀子さんを抱きしめながら、何故この人はこんなにも愛おしいのだろうか…と。

出来る事ならこのまま家へ連れ帰りたいと思った。






何分時間が経ったのだろうか。

僕は時計を見る。25分。



あと5分しかないのか…。




でも今日は何も話さずにこうしていたかった。


登紀子さんが安心出来るように。



登紀子さんとの時間は本当にあっという間で、29分を過ぎていた。


あの時のような顔はさせたくないから、僕は時間を守る事にした。




「もう30分だから行きますね。」




「はい…。」

と言って登紀子さんは僕から離れた。




涙の跡はついていたけれど笑顔になってくれていた。




「じゃあ…また明日…」

とってもとっても名残惜しいけれど、僕は男だし。






かっこ良く見せたいから片手を上げてその場を後にした。






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