4月10日
今日は久々に、アイツに結果報告をしてやろうと朝から電話を掛けてやった。
「なんだよ~賢治~こんな時間にぃ。頼むよ~」
またコイツは何を頼むのだろうか。
「お前とはこの時間が一番話しやすい。」
僕は一言そう言うと
「あっそ‥で、何?」
ぶっきらぼうな返事が返ってきた。
「ベンチを作ってあげたんだ。」
「うん。‥で?」
「相合傘も書いた。」
「うん。…で?」
「賢治、登紀子って。」
「‥…。」
「終わり。」
僕がそう言った瞬間に電話は切られた。
せっかく僕が結果報告をしてやっているのに、田中の奴め。
きっと僕が羨ましくて仕方ないんだな。
僕はチッと舌打ちをし携帯を放おり投げた。
◆
僕は、1階へ降りて朝ごはんを食べた。
キッチンのカウンターを見ると、
この前あった引きこもりや登校拒否の相談チラシはなくなっていた。
当たり前だ。この僕を引きこもりニートと勘違いされちゃ困る。
僕はフンと鼻を鳴らし、新聞を手に取った。
僕の目にアルバイトと書かれたチラシが目に入った。
アルバイトか‥
してみようかな。16時まで。
パートタイマーか僕は。
いやいや、15時30分までだ。
そして、僕が稼いだお金で登紀子さんに何かプレゼントしてあげよう。
うん。そうしよう。
僕は、チラシを片手に部屋へ戻った。
◆
時間になった。いつもの時間。
僕は1分1秒足りとも無駄にはしたくない思いから急いで家を出る。
自転車を漕ぎながらふと昨日の登紀子さんの顔を思い出す。
大丈夫なのだろうか。
少し不安に思いつつ登紀子さんの姿を捉えた時には僕は笑顔になっていた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
昨日の顔が思い出せないくらいに登紀子さんは笑顔だった。
「今日もいい天気ですね。座りましょうか」
「はい。」
「僕、明日面接行こうと思うんです。アルバイトを始めようかと思って…」
「そうなんですか。頑張って下さい。」
「はい‥。」
相変わらずこんな感じだけれど…
「お金も今のうちから貯めておこうと思って。2人の将来の為に…」
最後の言葉は小さく呟いたから登紀子さんには聞こえていないかもしれない。
「あっ、でも心配しないでください。登紀子さんとの時間は必ず取りますから。」
「はい。」
「明日も、面接終わったらすぐここへ来ますね。」
僕がこう言った後、登紀子さんの顔色が変わった。
「あっ‥あのう‥明日はダメなんです…。」
登紀子さんは申し訳なさそうに呟いた。
「‥え…なぜ?」
僕は思わず身を乗り出す。
「明日は13日目なんです…。」
13日目??何がだろうか。
まさか女の子の日が13日目?いやいや、そんな事は関係ないだろう。
「…とにかく、明日はダメなんです。ごめんなさい…」
ペコリと頭を下げられてしまって、僕はそれ以上聞き出せなくなってしまった。
「解りました。じゃあ明後日会いましょう。必ずですよ。」
そう言うと、登紀子さんは笑顔で頷いた。




