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まほろば高校魔術科〜自販機を浮かせた一般人が編入したのは、ゲーミングチェアで空を飛び、カートで爆走するヤバすぎる学校でした〜  作者: Kururi


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第13話 杖探しの答えがそれかよ

「……宝探し」

「あ」


全員、ピタッと止まった。


ピカピカと明滅する魔界ゲーセンのネオン。

さっきまであんなに騒がしかったのに、急に静かになった気がした。


九条が、自販機のジュースを片手に固まっている。

「……完全に忘れてたな」

「ラーメン食って、ゲロセン来て、プリ撮ってたからな……」


まおは、まだ手元のプリントシールを見て笑っている。

「この半透明のおっさん、じわじわくる」

「帰る?」

りんはすでに眠そうだった。


その時だった。


カラン。


何かが、たろーの靴に当たった。

「ん?」


足元を見る。

落ちていたのは、小さい金色の鍵だった。古びている。


たろーが拾い上げる。

「あれ……これ……」

見覚えがある。

さっき、まおが地下街の謎のガチャガチャで引いたハズレ景品の鍵と、まったく同じだった。


全員、ゆっくりと顔を上げる。


ゲームセンターの一番奥。

今まで誰も気づかなかった場所。

ネオンの影に隠れるように、古びた重厚な鉄扉があった。


プレートには、赤い文字。

【STAFF ONLY】


そして。

扉の中央には、鍵穴。


沈黙。


九条が、めちゃくちゃ嬉しそうな顔をした。

「……こういうの、最高だよな」

まおも、もうワクワクしている。

「開けよ開けよ!!」

「いや待てって! 絶対ヤバいやつだろ!」


だが、誰も止まらない。


カチ。

たろーが差し込んだ鍵が、ぴったりハマった。


ギィ……。

重い音を立てて、扉がゆっくり開く。


中は、真っ暗だった。

冷たい風が、ふわっと吹き抜ける。


「うわ……」

細い石の階段が、下へ、ずっと下へ続いている。


さっきまで聞こえていたゲーセンの爆音も、笑い声も、全部急に遠くなった。

静か。

なんか、空気が違う。“本物”のダンジョンの空気だった。


九条がニヤニヤしながら先に進む。

「行こうぜ」

「だからテンションで突っ込むなって……!」


地下へ降りる。

一段。また一段。

松明の明かりだけが頼りの、古い石階段。


ふと、壁に誰かの落書きがあるのを見つけた。

【戻った奴はいない】


「急にホラーテイストにするなよ……」

たろーが身震いする。

まおが後ろから笑った。

「でも、ちょっと楽しくない?」

「……それはそう」


さらに奥。

暗闇の中に、ポツンと灯りが見えた。

小さい部屋。


その中央に——

宝箱が、静かに鎮座していた。


「うわ……」

ほんとにあった。


全員、少しだけ黙る。

九条が、息を呑んでゆっくりと近づく。

「開けるぞ……」


ゴクリ。


ギィィ……。

宝箱、オープン。


中に入っていたのは。

……杖じゃない。

金銀財宝でもない。


ボロボロになった、分厚いノートだった。


「え?」

まおが手に取り、そっと開く。


そこには。

大量の「写真」が貼られていた。

昔の、まほろば高校の生徒たち。


地下街。ラーメン屋。ゲーセン。空飛ぶ変な乗り物。

みんな、めちゃくちゃ笑っている。


ページをめくるたび、写真の画質や服の時代だけが変わっていく。

でも、やっていることは、今の自分たちとほとんど同じだった。


「……なんだこれ」


最後のページ。

古い達筆な文字で、一言だけこう書かれていた。


【“ワンダフル・ピース”とは、青春の思い出のことである】


沈黙。


九条が、ふっと笑った。

「……校長、こういうの好きそう」


九条が笑う。

たろーも、つられて笑ってしまった。

「なんだよそれ。魔法の杖探しの答えがそれかよ」


まおが、ふと自分たちのプリクラを見た。

さっき撮った、ひゃくれんしゃプリ。

目はキラキラ。謎のハートスタンプ。そして端っこに、知らない半透明のおっさん。


「……貼る?」

「え?」


まおが、ボロボロのノートの最後のページを開く。

空白。

そこへ、ペタッ。


四人(+おっさん)のプリクラを貼った。


その瞬間。


ノートのページが、青白く激しく発光した。


「うわっ!?」

紙面に、新しい文字がゆっくりと浮かび上がる。


【新しい“思い出”を確認しました】

【これより、地下街の記録を更新アップデートします】


「更新ってなに!?」


ゴゴゴゴゴゴゴ……!!


突然。

部屋全体が、激しい地震のように揺れ始めた。


「え!?」

天井からパラパラと砂が落ちる。

壁の石レンガが、生き物のように動き出す。


りんが、スッと後ろを振り返った。

「……閉まる」

入ってきた通路の扉が、凄まじい速度で閉じ始めていた。


九条が叫ぶ。

「逃げろぉぉぉぉ!!」


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