表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法学校の方士先生  作者: 均極道人
第九章 ライフタリン
149/154

第一百四十七話  完成

ついに、百日目。


劫雲は静かに散り――


大鼎の蓋が、ゆっくりと開かれる。


そこにあったのは――


造化の生機を湛え、輝きを放つ一粒の金丹。


「……シオン……」


力を使い果たした陸虚が、かすれた声で言う。


「早く……転送陣へ……」


言い終えると同時に、彼の意識は途切れた。


「陸先生!」


シオンは駆け寄り、その身を支えながら、


金丹を掴み取ると――迷うことなく転送陣へと放り込む。


光が弾けた。


――その先。


エルフ領。


待ち構えていたセリスが、現れた金丹を受け取ると、


即座に――世界樹ティリオンの核へと押し込む。


次の瞬間。


膨大な生命力が、爆発するように溢れ出した。


枯れかけていた世界樹は息を吹き返し、


エルフ領を覆っていた汚染は――一瞬にして霧散する。


そして――


呪いの地、その最深部。


長きにわたり姿を消していた、魔法使いギルドの会長――カロルンは、


静かに息を吐いた。


「……さすがだな,白也の弟子、か」


その瞳に宿る緊張が、ようやく解けていく。


「これで……ようやく、源の浄化に集中できるか」


金丹を取り込んだ世界樹ティリオンは、完全なる復活を遂げ――


その存在は、6級から7級へと昇華した。


遠くから、旧き友であるアイスへと視線を向ける。


アイスは静かに頷き、次の瞬間――その身を翻し、ライフタリンへと飛び去っていった。


やがてティリオンはその場へと現れる。


それを見たオグドンは、堪えきれずに涙を零しながら――


「……先生」


ただ一言、そう呟いた。


ティリオンは優しく彼の頭を撫でる。


「よくやってくれた、オグドン。長い間……本当に、苦労をかけたね」


そして穏やかに微笑む。


「さあ――私を救ってくれた小さな友を、見せてくれるかい?」


ティアリアに支えられた陸虚のもとへと視線が向けられる。


「父上、この方です――陸虚」


その間にも、ティアリアは必死に生命力を流し込み続けていた。


やがて、少しずつ意識を取り戻した陸虚は――


復活したティリオンを見て、ふっと笑う。


次の瞬間。


ティリオンが軽く手を振ると――


7級の生命法則が解き放たれ、


枯れ果てていた陸虚の身体を、一瞬で満たした。


「――おお?」


さっきまでぐったりしていたはずの陸虚が、ぱっと立ち上がる。


軽く身体を叩きながら、


「すごいな……これが7級の生命法則か」


と、素直に感嘆した。


――そのとき。


「し、師匠ぉぉぉ!!」


遠くからリセルの悲鳴が響く。


「そっちだけ回復してないで、こっちも頼みますよぉ!!」


見れば、周囲の面々は皆、限界を迎えて倒れかけていた。


陸虚は苦笑しつつ、ティリオンへと視線を向ける。


「……よろしければ、彼らのことも頼めますか?」


ティリオンは優しく頷き、陸虚の頭をそっと撫でた。


「もちろんだよ。君たちは皆、素晴らしい子たちだ」


「これは――私からの、ささやかな礼だ」


そう言って、次々と仲間たちへと生命力を分け与えていく。


その様子を見届けた陸虚は、小花を抱き上げ――


近くの大樹の下へと歩いていった。


そして、そのまま腰を下ろす。


「……ふぅ」


目の前に広がる穏やかな光景を見つめながら――


陸虚は、ゆっくりと目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ