6.再会
--最高のタイミングだ。
蓮は心の中でガッツポーズをし、扉の方に視線をやる。
……ああ、あの時の少女だ。
昨日見たはずなのに、なんとなく懐かしく感じる。
桜は驚きもせず、店員に軽く頭を下げて、蓮に向き直る。
すると、再びあの時の小さなメモを取り出し、さらさらと書いていく。
俺と店員は、桜が何かを書き終えるのを黙って待っていた。
数秒後、ようやく書けたのか、メモを切り離し、俺に渡した。
{来てくれたんですね、ありがとうございます。あなたのこと、聞きたいです。2階に部屋があるので、そこでお話ししませんか}
……唐突だ。彼女はいつもこうなのか?
横から覗いている店員は、驚いた顔で蓮を見つめている。
聞きたいのはこっちなんだが、と内心思いながら、この機会に彼女のことを知れるかもしれない。という興味に負けて、思わず
「わかった。じゃあ、2階で話そう」
うなずいてしまう。
俺の言葉を聞いた瞬間、ぱっと明るい顔になる桜。
それはまさに太陽のような笑顔だった。
「……ちょっと桜! あなたが、こんな見ず知らずの人間と関わるなんて、大丈夫なの!?」
先程までじっと黙っていた店員が、いきなり彼女にふりかかる。
くそ、せっかくいい流れだったのに、と密かにこの店員を恨む。
すると桜は何を思ったのか、またメモを1枚書きだした。
先程俺にしたように、そのメモを店員に渡す。
何を書いていたのかは見えなかったが、店員がそのメモを見た瞬間、固まり、参ったと言わざるを得ないという顔をしていた。
私の勝ち、と言わんばかりの鮮やかな笑顔を浮かべる桜。
いったいどういう殺し文句を隠し持っていたのだろう、と思いながら、まんまと店員の尋問から逃れた俺は、桜に連れられてその店の2階に向かった。




