22.不可解な
「皐月さん、助かったよ。少し悩んでたんだけど、すっきりした」
全てを聞いた俺は、店に入ってきた時とは真逆の気分だった。
「いえ……」
このまますっきりとした気分で花屋をあとにしようと思っていた俺は、ふと皐月さんのただならぬ雰囲気に引き留められてしまう。
「あの、藤崎さん。実は、言うかどうか迷ったんですけど……」
それが良いことではないのは、皐月さんの表情から見て、すぐにわかった。
聞きたくないとは思いつつも、気になってしまう。
「……桜の様子が、最近おかしいんです」
――おかしい……?
あの少女にはまだ謎があるのだろうか。
「おかしい……って、どうして?」
「実は、ここのところ、カレンダーを見て悲しそうな顔をするんです。それからはなんだか元気がなくて。あと、桜の部屋の机に、病院から処方されているような薬が置いてありました。」
――薬?
俺の頭に1番に入り込んできた言葉は、これだった。
なぜ、そんなものを。
桜はどこか悪いのだろうか。
それに、元気がないなんて、珍しい。
悪い考えに支配される中で、彼女に会って確かめなければならないという使命感が湧き出る。
「そんなものを見てしまうと、どうしても理由を聞き出せなくて。桜なりに悩むこともあるんでしょうけど、心配で」
皐月さんの表情は、本当に心配しているという感情がにじみ出ていた。
「……じゃあ、聞いてみるよ。俺も桜と話したいし」
俺がそう言うと、皐月さんはぱっと頭をあげて、安心したような顔でこちらを見据えた。
「本当ですかっ? ありがとうございます……!」
そのあと俺は、皐月さんと別れ、いったん家に帰ることにした。
今回聞いた話は、どれもこれも俺が知らない話ばかりだった。
桜の過去、心情、薬のこと。
ここ数か月、毎日のように会っていたはずなのに。
こんなにも、知らないことがあるものか。
とにかく、彼女から聞き出さなければ解決しないのだ。
家についた俺は即座に携帯を開き、桜のパソコンのメールアドレスを選択して文章を打ち込んだ。
――このぬぐいきれない不安を、早く取り除かなければ。




