19.楓の告白
「お……まえ。それ本気で言ってんのかよ。じゃあ、真麻の言ってたことはどう説明するんだよ」
楓は真っ青になりながらも、一気に話し出す。
その疑問に反抗するかのように、俺も乗り出した。
「真麻は、ちゃんと見たのか? 俺の隣にいたんだよ。……その、高校生くらいの女の子が」
最後の言葉を聞いた瞬間、楓は絶望に満ちた顔で頭を抱えた。
「高校生だと……? 嘘だ。人がいるなんて、そんな……」
先程まで俺の目をみつめていた楓はうつむき、ぶつぶつと何かを言っているようだった。
「なあ楓。お前らが仕事で疲れてて、見間違えたなんてことはないのか? その可能性だって……」
「じゃあ見ろよ」
その言葉を言い終える前に、楓は俺に自分の携帯を渡してきた。
そこには、ある1枚の写真がうつしだされている。
――なんだこれは。
見せられた写真によって、またも俺は石化してしまう。
「真麻から送られてきたものだよ。これでも一緒にいた人がいるなんて言うのか」
――楓の言っていることが頭に入らない。
「……お前なあ。もう真麻を心配させるな。あいつ、蓮のことが気になって仕方ないみたいだ。だから、そんなわけのわからないやつと関わらないでくれ。助けてもらった恩はあるかもしれないけど、お前がおかしくなってしまう」
――関わるな、だと?
「俺から言いたいのはそれだけ。……じゃあな」
全て吐き出したのか、楓は伝票の上に真麻と自分の分のお金を置いて、席を立つ。
「お前が真麻を守れないなら、俺が守るから」
楓は気障な、ヒーローじみた台詞を言い捨てて店から出て行った。
――なにかっこつけてんだよ、あいつ。
――そういえば楓は、昔から真麻のことが大好きだったなあ。
そんなことを思いながら、先程見せられた写真を思い返す。
そこにうつっていたのは、他の誰でもない、俺自身だった。
楽しそうにニコニコ笑いながら、花屋に続く道を歩いている。
その左手には、いくつかの小さなメモが握られていた。
それだけなら、何も問題点などないはずだった。
しかしその事実は、俺のかすかな祈りを打ち砕いた。
隣には、誰もうつっていなかったのだから。




