転生したヒロインは前世の推しを追いかける
前世の記憶を思い出したのは、入学式で綺麗な黒髪を見かけたときだった。
前世の私はゲームが大好きなただの女子高生だった。
そんななか、18歳になった記念に背伸びとも言えない背伸びをしたくて、全年齢対象の乙女ゲームを買ってみたのだ。
そうしたら、乙女ゲームなのに攻略対象たちではなく悪役令嬢にどハマりしてしまって。
乙女ゲームとしては珍しく、公爵令嬢のヒロインにも臆さず自分の意思を貫く彼女にいつの間にか恋をしていた。
私がヒロインに生まれ変わったと自覚した途端に思った。
公爵令嬢に気後れせずバトってくるマーガレット様を見たい!!マーガレット様どこ!?と。
実際に彼女と対面して思ったのは、思ったよりも小柄で心優しいけれど自分が決めたことはテコでも動かさない、動かせない普通の女の子だった。
とても高いヒールを履いた私にはマーガレット様が子犬か何かにしか見えなくて。
子犬好きの私には堪らなかった。
無言で黙ってしまった私を恐る恐る見上げるマーガレット様。
こんなマーガレット様を呼び捨てにできるのではないかと思ってしまった私は加護欲と独占欲が湧いてきて、公爵令嬢の身分を盾に彼女を構い尽くした。
法を変えて彼女を嫁に迎えたい一心だった。私ならそれができる。
ただ、彼女に自分を好きになってもらいたかった。仲良くなりたかった。
それが、マーガレットの負担になるとも知らないで。
マーガレットが婚約者のことを好きなのは知っていた。その男が攻略対象であることも。
その結果、最愛は自ら毒を飲んだ。
そして、いとこの王太子が私に好意を寄せていて、マーガレットに避けられて顔を暗くするところを見られていたのも。
その原因を知った彼が虎視眈々とマーガレットを追放する理由を探していたことも、知ってしまった。




