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しょっぱい日常④

少し調子出て来た。


「うわあぁぁぁあぁぁああぁぁあ!!!」


「にげ、逃げろぉ!」


「きゃぁあああ!!」


「助けてぇえ!」


人々が悲鳴を上げて逃げて行く。

人から逃げているのか?

違う

人里には餌が少なかろうと決して降りて来ない事で有名、一部の猟師からそれなりに愛着と最大限の警戒を持たれている。

その一部の漁師達からは体格と知能の高さで持って《ゴジラ》と呼ばれていた。


「ヴゥウォォォォォォォ!!!」


たった一度の咆哮は更に人々に恐怖を抱かせ道が開けていく。

この《ゴジラ》は自身にとって仕えるべき、捧げるべき相手に呼ばれたのだ。

その存在からは《ゴジラ》ではなく他の名前で呼ばれている、晴信と。

歩みは止まらず呼ばれた存在に向けて足は止まらない。




────────────




ただでさえここはあまり人が来ないから今の状況のような場面でしっかり動ける筈がない。

店員の遅い動きにイラついたのか強盗のうちの1人が手に持っていた包丁で店員の頬を切りつけた。


「ひっ!!!」


「ちんたらちんたらしてんじゃねーよ!!殺されたてーのか?!さっさと売上出せや!」


「は、はいぃ!」


2人の店員を脅しお金を鞄の中に詰め込ませ棚に置いてあった煙草のカートンも複数詰め込ませているが銀行でも襲っているみたいな気迫なのにやってる事半端なコンビニ強盗だもんなぁ。

ちぐはぐでしょっぱいと言うか何というか。

人を殺していないからまだ可愛いものだったが手に持っている包丁で店員の顔に傷を付けてしまえばそれは立派な強盗致傷罪。

死人は出ずとも


「罪は罪やでぇ」


「?どうしたのすみちゃん」


ガシャン!!


コンビニの外で一際大きな物の壊れる音がする。

コンビニ内の全ての人間のが驚き音の方向へと視線を向けた。

そこには世界で最も大きいと言われるコディアックヒグマに相当するような体躯の熊が強盗犯3人の逃亡者と思しき車を襲いひっくり返していた。


「「うわぁぁあ!!」」


「はぁ?!何で熊がこんな所に!」


「どうすんだよ裕也の車が転がされたぞ!!」


「どうやっ、逃げ───」


ガシャン


更に車が動き残っていた窓ガラスが割れる。

中にいる犯人達の仲間の裕也とやらは泣き叫びながら助けを求めていた。

晴信は私が命令しない限り人を食う事はしない。

そんな命令を下すのは私の学校の後輩が襲われた時くらいだ。

チラリ、と店員を脅していた犯人を見る。

包丁を落とし店員と一緒になりながら怖がっていた。


店員の方はまだ責任感があるせいか冷静さが残ってる分どうしよう、どうこの状況を対処しようかと考えて体が動かないでいた。

いや、動かないと言うより動けないと言う方が正しい状況だ。


車の位置は入り口からたった10mほど離れた位置にあり、侵入されないようにシャッターを降ろすには近付かなければ行けない。

行けるだろうがそうしたら熊の意識が自分になるかもしれないという恐怖。

恐怖と戦い店内にいる客と強盗しに来た3人すらも守ろうと男の店員がゆっくりすり足で近付こうとしている。


だがぶっちゃけ私が命令していないのでこちらを襲う事は絶対に無い。

しかし恐怖を乗り越えて人を守ろうとする姿には敬意を抱かずにはいられない。

しかも見た所歳は精々が大学生。

凄まじい精神力に敬服する。


「店員さん」


だからこれ必要以上に怖がらせない為にこの場を納めなければ行けない。

ただ不自然にならないように


「ッ!?!!」


ビクゥ?!!?!といっそ面白いくらいに肩が跳ねたのを見て少し笑ってしまった。


「店員さんもしかしたらあの熊はお腹空かせてするんじゃない?だから商品棚のパンとかなるべく沢山投げて意識反らせたりしない?。

 警察は呼んだんでしょ?飯食ってる間は多分その場から動かないだろうし何とかなんないかな?こう、ビニール袋に袋から出したパン詰め込んで裏口から出てあの熊から少しだけこの店から離れた位置に投げる!

 鼻が良いだろうから直ぐに気付いてあの車から離れて食べる可能性がある!1袋だと足りないかも知れないから恐らく3袋くらい必要かもだけど」


「あり……かも!餌付けする形になるから後々処分する羽目になるかもしれないけど。僕達も死にたくないしね。やるしかないか」

 

晴信私が合図したら山に戻れ


「私一応パルクール出来るんすよ。だから何とかコンビニの上に登れれば安全に投げられる筈です!」


もう充分怖がらせた、晴信無駄に走らせてごめんね

山に戻ってくれる?


ピクッ


心のうちで伝えると直ぐに伝わったのか動きを止めて探すように周囲を見る。

そしてゆっくりと体を翻し森に帰って行った。


「か、帰った????」


「めっちゃ…………幸運すね」


自分が白々し過ぎる。

大根演技ではないのが救いか


「あーー、一応あの車の人助けます?」


「まぁ強盗とはいえ熊が予想外だろうし助けよっか」


「お人好しっすねぇ」


私はフリだが男の店員と一緒に一応周りを警戒しながら外に出て助けに向かった。

流石に関係の無い人間を巻き込むこの生物を従える力の使い所は考えなきゃいけないやぁ


「はぁ、反省だよ」









物心ついた頃には全ての動物が自分の思い通りに動いていて厨二病を患うまでは当たり前だと思っていたが逆に強めの厨二病を患った事で常識との擦り合わせが行われ割としっかりとした常識を獲得。

しかし後輩に手を出した屑てめーは駄目だ


ここまで読んで下さりありがとうございます!!

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