23 無理
――3人の生徒が空き教室に集まっていた。
軍務卿子息のデリファン、宰相の子息ザクス、伯爵令嬢の娘アリサの三人だ。
「王子は?」
「決闘開始までに用事があるとかで別れたよ」
デリファンはザクスの問いに剣の手入れをしながら答える。
しかしザクスはもう一人の居ない女生徒が居ない事に気が付き。
「ローナンはどうしたんだい?」
それに応えたのはアリス。
「ローナンは私は私の役目を果たす!とかて言って突然出ていったんだけど……特待生でも探しに行ったのかなぁ」
「そうか、ローナンはあの場では特に目立ってはいなかったし、俺達の仲間とも思われていないだろうから、今はまだ特待生に近づくのも容易だろう。だけどこんな状況で果たしてローナンが特待生に付く意味あるのか?」
「そうよね……公爵令嬢にイジメられたの私だし。イジメられる側にローナンの立ち位置があるとすれば私の隣じゃないかな……フッ」
「そう自虐的になるなよアリス。勝負はこれからなんだ」
「ありがとデリファン。でもごめんね、私のせいで貴方まで巻き込んでしまって」
お礼を言うアリスの瞳は、彼にそれ以上の感情がある様だが、本人はそれき気付かず。
「なんなら予定通り俺一人でアリスの代役をしてもいいんだぜ?ザクス」
ザクスは首を振り。
「折角あの騎士君を排除出来る機会なんだし、三人で片付けた方がいいよ」
「……そうだな、すまん。決闘の代役は三人までって言われても俺が納得いってなかっただけかもしれない」
デリファンは大人げないなと思い至り、大人しく引き下がる。
「二人ともゴメンね。王子と特待生の出会いイベントが発生しない時点で他のルートも視野に入れて動くべきだったわ」
「いや、仕方ない。公爵令嬢がイジメをする切っ掛けとして、令嬢の取り巻きとなるアリスが特待生をイジめるのは間違っていないんだから」
アリスに非は無いとデリファン。
「そうだよ。問題はやはりあの騎士爵のアレクサンドロス。アイツだ」
「そうだな、兎に角アリス。決闘で勝った場合の条件に、あの騎士の退学を追加しろ。王子の機転で俺とお前で奴を倒せるのは確実だしな」
「あぁ、まさか王子があそこまで肩入れしてくれるとはね。幼馴染は伊達じゃないて事だよ」
「そうね、それに王子はあのアレクサンドロスと言う男を毛嫌いしている様だし」
「あぁ、後は王子が特待生に興味を持つように仕向けるのはその後でもなんとでも出来る」
「そうね……。本当は公爵令嬢自身を殺してしまえば戦争になんてならないんだけど……」
「それを言うな、これは現実であってゲームじゃない。俺達は人の命が重い事を知っている現代人なんだ。人を殺して戦争を回避しても意味がない。だから公爵令嬢には予定通り特待生をイジメてもらい、王子から離縁され別の派閥の人間に消してもらうルートが一番いいんだ……いいはずだ」
「本当にそれで戦争が回避できると思う?ザクスもクリア出来て無いんでしょ?」
「それを言ったらあのゲーム自体、ハッピーエンドが存在するのかさえ世界中のゲーマーの謎だろう」
「……もしハッピーエンドがないとしたら!?」
「……」
「そんなの地獄じゃない!今はプロローグで本編も始まってないのよ!」
「「「…………」」」
そう、ここはプロローグ。
本編がまだ始まっていない事に気が付き息をのむ。
「無理だな」「無理ね」「無理だろ」
日暮れ迫るその部屋で、意見の一致に引き攣る笑顔の三人がそに居た。
――ガラガラガラ!!
突然開かれる教室の扉。
「……お主たちか。アレクと決闘をすると言うガキどもは」




