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19 告げ口

 アリス、ローナン、ザクス、デリファン。

 4人は頭を抱えていた。


 理由は簡単。

 4人で廊下を歩き教室へ戻る道すがら、目の前から金髪の髪を靡かせ王子が手を振って近づいて来る。

 それはいい。

 だが、手を振りながらのセリフが問題だった。


 4人は食堂でのテルマイル公爵令嬢との決闘騒ぎの後、改めて今後の行動について話し合った。

 話し合った結果は、兎に角今日一日絶対にテルマイル嬢とアリスの決闘を王子の耳に入らない様にし、決闘は素早く速やかに眼鏡騎士を沈めて集結させる事。

 都合よく、王子は公爵令嬢がアリスとデリファンに放課後用事があるとしか聞かされていない。

 それにテルマイル公爵令嬢はデモ園の超主要キャラ。

 このままあの騎士が突如消えても、現れたモブ相手に主要人物が執着するとは思えない、との4人の判断だ。


 だが。

 


「お~いザクス~!あの陰気な眼鏡と決闘するそうじゃないか~!」


 凄い笑顔でイケメンが近づいて来て、まさに4人の前に到着した。

 だれも決闘するなど言っていないにも関わらずいきなりバレてる事に全員が驚き。

 ザクスは危機を察知して緊急回避する。


「い、いや私ではなくデリファンです!」


 ザクスが素早く綺麗にデリファンへ指を差す。


「そうかデリファンだったのか!」


「え!いや決闘は俺じゃなくてこちらのお嬢さん!」


 デリファンが思わずといった感じでアリス嬢へ指を差す。


「ふぇっ!?」


 アリスが驚き。


「君が?」


「いえ、そのなんと申しますか……(なんで庇ってくれないのよ!)」


「(スマン。ザクスの裏切りが早すぎて思考が追い付かなかった)」


 とか色々言っているが王子が何故か笑顔のまま振り返り。


「どうなっている?チャカシ」


 振り返った先には黒い制服。

 少し身長の低い緑の髪で天然パーマの辺境男爵家の嫡男、チャカシの姿があった。

 彼は担任のカーライル氏に王子へ先に挨拶をしろとのたまったモブだ。

 デモ園の原作では、公爵令嬢に取り入り彼女の手足となってハルに対して悪だくみを行う末端であった。見た目は貧弱、髪は7:3で分けられた黒と金髪のまだらで、その態度は尊大でいて卑怯。

 最低を絵にかいたような男だ。

  

 そんな男が今は王子に付き従っている事に4人の顔は更に困惑に満ちていた。


「へい王子。食堂であっしが見たのは確かにそこのデリファン殿と眼鏡野郎が放課後決闘をするって事で決まったところっス」


「と、申しておるが。デリファン?」


「あ、あぁ、実はそうなんだ。王子にいらない心配をか、か、掛けたくなかったからな」


「ぐっ、私はなんて心優しい友人に恵まれたんだ。そうか、テルマイル嬢が食堂でデリファンと放課後一緒に過ごすと聞いて私は、私はなんて愚かな考えを……」


「王子?」


「いや、もういいんだ忘れてくれ。幼馴染の友人に嫉妬などとみっともなかった問題ない、直ぐに暗殺部隊は下げさせる」


「はい!?」


――その後、これは不味いと思ったザクスが事の経緯を順序だて細かく正直に王子へ説明をした。


「それで特待生だが平民のハルと言う生徒をテルマイル嬢が庇ったと言う事か……どこまで彼女は心優し方なのだろうか」


「王子、聴いてます?」


「あぁすまん、テルマイル嬢のあまりの心の優しさに少し眩暈がしていただけだ。しかしテルマイル嬢も高貴な貴族である我々が平民如きの為に決闘を持ち出すのは些か早計だな……いや?もしかしてあの眼鏡の入れ知恵か?」


「王子様の意見ごもっともかと。我等もあの眼鏡の差し金ではと先程話ていた次第です。正直本音ではデルマイル嬢も望まぬ事でしょう。よって私は彼女と直接決闘をすることで今回の件をおさめようと思っております」


 言いながらザクスは今後についての思考を巡らせる。


 決闘には何故か悪役令嬢の傍に居るヒロインのハルも来るだろう。

 ならばあの眼鏡を完膚なきまで叩きのめし、ヒロインを王子に近づけるチャンスだと脳内を高速回転させた結果。


「王子も是非決闘をご覧ください」


「私も見学に行ってもよいのか?」


「もちろんですとも!」


 王子の返事を聞き、ザクスは振り返り。

 ローナン、アリス、デリファンの顔を見る。


「「「その方向で!!」」」


 4人の結束は更に強まった瞬間だった。




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