13 王国の為に立ち上がる同盟者
クラスが発表される校舎前。
そこで4人の男女が驚愕の表情で3人の姿を見ていた。
それは勿論談笑している公爵令嬢とその騎士、そして特待生の3人の姿である。
「おい、アキナ……じゃなくてアリス、あれってどう言う事だ」
そう言ったのはツンツンヘアーの白制服、王子の幼馴染の一人である侯爵軍務大臣子息デリファン。
前世の名は新井ただし。
「あんたいい加減前世の名前で呼ぶの止めなさいよ」
文句を言う赤い髪にそばかすが少し残る少女は、伯爵令嬢アリス。前世の名は坂口あきな。
「そうね。いつまで経っても夢と現実を区別出来ないとは情けない」
黒髪に眼鏡を掛けた根暗そうな少女は、王国随一の豪商で男爵位を持つ父が居る、ローナン。前世の名は藤堂さおり。
「そう言ってやるな、デリファンは彼なりにこの世界の行く末で手一杯なんだよ。なぁ新井」
と、自分の事は棚に上げる宰相の息子で王子と幼馴染であるザクス。前世の名は郷田三郎。
四人は前世の記憶を持ち、しかも『デモ園』プレイ経験者である。
――彼等4人が出会ったのは昨年の秋の事。
事の始まりは、とある街で魔法力を高める『極魔力クリスタル』が教会で発見される事を4人が狙った事から始まる。
そのクリスタルは所持するだけで自身の魔力量を倍にする効果を発揮するものだった。
だが、それを発見する時期は主要登場人物達の学園入学後、休みの期間に帰省した特待生である主人公なのだが。そんなアイテムをいつまでも放置する4人ではなかった。
昨年秋、そのとある教会で――。
深夜、赤い髪のアリスは教会の右の角で愚痴る。
「まさかデモ園の悪役公爵令嬢の取り巻きに転生するなんて……でもアレは私が持っておいた方がいいわね」
同日深夜、黒い髪のローナンが教会の左の角で。
「まさかデモ園の主人公と一緒にイジメられる豪商の娘に転生するとは思いませんでした……でもアレは私が持つ事で威力が発揮されるはず」
同日深夜教会の屋根上、ザクス。
「おい新井、じゃなかった。デリファン、本当にここだったか?教会の屋根とかもう少し尖ってなかったか?」
同、屋根上にてデリファン。
「いや、絶対ここだって。それにあれだけのクリスタルだし、見つけたら二等分して持っとこうぜ」
「そうだな。じゃ、いくぞ!」
「いこう」
「いくわ」
「いく」
――ズシャ
「「「「…………」」」」
こうして前世の記憶を持つ4人は出会った。
この終わってしまう王国の未来の為、生き抜く為に彼らは同盟を創ったのだった。
―――
――
「あんたも前世の名前で呼んでるわよ?兎に角ザクスは顔はいいのにポンなのは置いておきましょうよ」
「でも原作に限りなく忠実」
「酷いな!」
「おいおいお前達なぁ。てかマジ、アレはいったいどう言う事よ?俺達何かストーリーが変わっちまう事したか?」
デリファンの質問に脂汗を流しながら全員が押し黙る。
質問したデリファンですら流している。
その重たい空気に耐え切れず、アリスが震え声を出す。
「ちょ、ちょっとだけ街で小銭を稼ごうと食品を卸しただけよ!?ストーリーに影響出る程じゃない!と、思われ……一個しか売れてないし」
「うん、大丈夫。アリスの造ったプリンは不味いから絶対売れない」
「ちょ、マ!」
「おいおい、プリンなんて砂糖と卵混ぜただけだろ?なんで不味くなんだよ。なぁザクス」
「……」
「ザクス?」
「いや、あのプリンは美味しかった」
「買ったのお前かよ!」
「/////」
「ん?なんでアリスが赤くなるだ?」
「デリファン。乙女心を蔑ろにしては駄目。それにザクスが食べたのは私の作ったプリン」
「なんでローナンが作ってるのよ!!」
「商人の娘なので許容範囲」
「お前ら落ち着けって。それよりあの三人の事だろうが」
4人はもう一度三人の姿を確認する。
「……やっぱり原作にいないあの眼鏡君が怪しいわね」
「私もそう思う」
「だよなぁ」
「そうだね。昨日もいきなり原作に無い王子からの決闘騒ぎを起こしているし」
4人は今一度要注意人物を注視する。
「兎に角見てても始まんねぇし、俺とザクスは取り敢えず王子と行動を共にするわ」
「そうね、私達もヒロインと悪役令嬢に近づいてみるわ」
「おう。じゃまた昼休みにでも中庭集合でいいか?」
「ええ」「いい」「了解」
そうして王国を救う為、4人は改めて行動を開始した。




