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きろく星―名前のない記憶
《カチッ》
少年「るい先輩!」
振り向いたその声に、
るいの心が、わずかに揺れた。
るい「……」
名前が、出てこない。
なのに――
「可愛がってた。」
その感覚だけが、はっきりと残っていた。
少年「また会えて嬉しいです!」
無邪気に笑う顔。
るいは、少しだけ微笑んだ。
るい「……そっか」
その言葉の意味を、 自分でも分かっていなかった。
《カチッ》
空気が、わずかに歪む。
るいは気づく。
これは――
「過去」じゃない。
再生されてるだけの、
「記録」だ。
るい「……ねぇ」
少年「はい!」
るい「――元気でね」
少年は、少し不思議そうな顔をして、 それでも笑った。
少年「はい!」
その笑顔は、 どこにも行かない。
けれど――
それで、いい記録だと思えた。




