変なイケオジ
ヤシロは、スーツを気怠そうに着こなす、
どこか掴みどころのない男だった。
――変なおじさん。
るいは、そう思っていた。
一方でにこは、
「イケオジじゃん!」と、
好印象を持っていた。
るい「過去へ行けるなら、お父さんとお母さんを助けられるんじゃないですか?」
少し無愛想に、るいは尋ねた。
ヤシロ「るいちゃん。残念だけど、それは出来ないんだ」
ヤシロは、少しだけ真面目な声になった。
ヤシロ「人の生死は変えてはいけない、っていう決まりがあってね。時空条例ってやつ」
るい「……」
ヤシロ「それを変えたら、何もかも変わっちまう。
世界が、おかしくなるんだよ」
にこ「何それ。意味分かんない!」
るい「じゃあ、私達には何が出来るんですか?」
少しだけ、声に棘が混じる。
ヤシロ「犯人を見つけて――
君達の手で捕まえるんだよ」
当たり前のように、ヤシロは言った。
るい「でも、それは時空警察の仕事なんじゃ……?」
ヤシロ「時空警察の“上”が、宇宙時空委員会」
にこ「へぇ〜」
ヤシロ「ほら、“宇宙”って付いてるだろ?
宇宙が!」
やけに強調するヤシロ。
るい「……じゃあ、宇宙時空委員会の特別対策室って?」
ヤシロ「んー、そのまんまじゃない?」
軽く肩をすくめる。
ヤシロ「そんな難しく考えないでさ。
まぁ今日は――少し旅でもしよう」
にこ「やったー! お姉!
なんか凄いことになったねー!」
るい「全然面白くない。
本当に、意味が分からない」
やはり、不満げだった。
ヤシロ「宇宙時空委員会の本部は、地球の遥か先だ」
ヤシロは、軽く笑う。
ヤシロ「まずは――
時空の歪みの中のカフェでも行ってみるか?」
にこ「何それー!!」
にこは、すっかり浮かれていた。
るいは相変わらず、
頭の中で様々なことを考えていた。
――理解が追いつかない。
それでも、物語は、
もう動き始めていた。




