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あの日のこと
《ウィーン》
重い扉が開いた。
ヤシロ「戻りました」
サカキ「……遅いわよ」
ヤシロ「すみません」
サカキは、ゆっくりと画面から目を上げた。
サカキ「境界は越えたわね?」
ヤシロ「はい」
サカキ「……で?」
ヤシロは、少しだけ間を置いた。
ヤシロ「ライラが自分が叔母だと話しました」
サカキ「そう……」
ヤシロ「次の銀河に向かうことになると思います」
サカキ「頼子さんは――
一体どうしたかったのかしら……」
ヤシロ「いや……よくは分かりません。でも、あの子たちを見ていて少し見えてきたものがあります」
サカキ「そうね。そうかもしれないわ」
ヤシロ「あの日は、必要なのかもしれない。と、僕は思います」
サカキ「そうね……でも、頼子さんの問題よ」
サカキは、小さく息をついた。
サカキ「問題は――
あの子たちが、どう受け止めるかね」
そこには――
《カチッ》
あの日の記録が、
静かに表示されていた。




