次に進む前に
《シュン》
名残惜しくも、またたび星をあとにし、
一行は時空の歪みにある
コテージへ戻ってきていた。
コテージの湖のほとりに、
お魚型の宇宙船が静かに停まっていた。
ヤシロは、
新しい推進ヒレを手に持ち、
宇宙船の横にしゃがみこんだ。
ヤシロ「さてと……取り付けるぞ」
リンリン「お願いします」
《カンカン、カンカン》
リンリンのヒゲがぴんっ!と
上に上がった瞬間。
ヤシロ「付いたぞ!」
リンリン「ありがとうございます!」
るい「良かったね、リンリン」
にこ「良かったぁ」
リンリン「皆さんが一緒に、またたび星に行ってくださったお陰です」
ヤシロ「よし……試しに動かしてみるか」
にこ「もう動かせるの??」
ヤシロ「よし……エンジン、始動!」
《ブオォン……》
お魚型の宇宙船が、
ゆっくりと震え始めた。
リンリンのヒゲが、
少しだけ不安そうに揺れた。
リンリン「……だ、大丈夫でしょうか?」
ヤシロ「焦るな。ちゃんと様子を見る」
《ウィーン……》
次の瞬間。
振動が、
すっと静かになった。
ヤシロ「よし。安定したな」
リンリンのヒゲが、
ぴんっ!と元気よく上を向いた。
リンリン「また、この大好きな宇宙船に乗ることができます」
ヤシロ「じゃあ……少しだけ前に出してみるぞ」
リンリン「はい!」
《スゥー……》
お魚型の宇宙船が、
湖の水面の上を、
ゆっくりと前へ進んだ。
リンリンのヒゲが、
うれしそうにふわりと揺れた。
リンリン「……動いています!」
にこ「すごーい!ちゃんと進んでる!」
るい「本当に直ったんだね」
ヤシロ「いつでも旅には出られるが……」
にこ「ねぇ?でもさぁ、ずっと気になることがあるよ。お父さんとお母さんのこと」
るいは、
ゆっくりと湖の水面を見つめた。
さっきまで揺れていた波が、
静かに広がっている。
るい「……そうだね」
ヤシロは、
工具をそっと置いた。
ヤシロ「その話は、避けては通れないな」




