はじまりスター
《ウィーン……》
小型宇宙船のハッチが、
ゆっくりと開いた。
まぶしい光が、
船内に差し込んでくる。
にこ「わぁ……朝だね?」
リンリン「とっても、あたたかいですね」
サカキ「ここが――
はじまりスターよ」
るい「……なんだか、柔軟剤のいい匂いがする」
《ふわり》
やさしい風が、
るいの髪を揺らした。
見上げると――
空には、
白い洗濯物が、
気持ちよさそうに揺れていた。
にこ「ほんとだ……
なんか、
お母さんの匂いみたいだねぇ」
サカキ「そうね……
お母さんって、こんな匂いかもしれないわね」
リンリン「リンリンも、マミーと妹のランランを思い出しました」
「いってきまーす!」
遠くから、元気な声が聞こえた。
サカキ「ここはね――
誰かの“はじまり”が、
毎日生まれている星なの。
だから……
私たちにとっての“はじまり”でもあるのよ」
るい「……うん。いいはじまりですね」
にこ「なんだか、安心するねぇ」
るい「私、ここ……好きかも」
遠くで、また誰かの
新しい一日が動き始めていた。
――サカキは、
静かに空を見上げていた。
サカキ「さあ、次の星に行きましょうか」
にこ「え?もう?」
るい「何もしてないですけど……」
サカキ「はじまりスターはね――
“はじまり”だから、
訪れるだけでいいのよ」
リンリン「訪れる……だけ?」
サカキ「そう。
ここに来た、ということが――
もう……ひとつの“はじまり”だから」




