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時空の湯
ヤシロ「オススメの場所へ連れていく」
《ウィーン》
自動ドアが、静かに開いた。
「いらっしゃいませ」
金属の体をした番頭が、
やさしく頭を下げた。
ケムリ「ここは、ハイパー銭湯 時空の湯。
お疲れの旅人を癒す場所です」
にこ「わぁーい!」
ヤシロ「あんまり騒ぎすぎるなよ!
ここは、個別に入ったり、2人で入ったり、自由に入れる銭湯だ」
にこ「お姉と入るよぉ」
リンリン「リンリンは、1人で考えたいことがございます」
それぞれが、扉を開き、お風呂の空間に行く。
扉の向こうには、
それぞれ違う色の湯けむりが、
やさしく揺れていた。
るい「いかずち星では、お父さんを感じて――」
にこ「ゆきしずく星では、お母さんを感じたね。ガロにも出会った」
るい「そして、またたび星では――」
にこ「大切な出会いがあったね、お姉」
るい「いろんなことがあったね、私たち」
にこ「うん」
《ポタンッ》
と、水滴が落ちた。
るい「でも、きっとこれからも――
たくさんの星に出会うんだろうね」
にこが、るいにお湯を
《ピチャッ》
っと、かけた。
るい「やったなー」
湯けむりの中に、
小さな笑い声が広がった。
ここは、
旅人が少しだけ立ち止まれる場所。
ハイパー銭湯 時空の湯。




