ゆがみとひずみ
にこ「さっきの……
あれも、歪みだったの?」
ヤシロは、少しだけ考えてから答えた。
ヤシロ「……似ているが、少し違う」
るい「違う?」
ヤシロ「これまで君たちが見てきたのは、
人の想いが揺れて生まれる――
ゆがみだ」
ヤシロは、湖の中央を見つめた。
ヤシロ「だが、さっきのは違う。
あれは――
時空そのものが動いた」
るい「じゃあ……」
ヤシロ「そうだ。
あれは“ゆがみ”じゃない。
ひずみだ。」
ヤシロは、静かに続けた。
「そして――
“ひずみ”は、
自分で、相手を選ぶ」
にこ「ひずみが自分で?選ぶってどういうこと?」
ヤシロ「理由は、誰も知らない。
宇宙時空委員会でさえもな」
るいは、思わず
静まり返った澄んだ湖を見つめた。
ルミニャ姫「どうか……リンリンを探してはくださりませんか?」
るい「はい」
にこ「絶対、見つける!
任せてよ!友達でしょ!」
そのとき――
誰も触れていないはずの
時空のコテージの
システム室で。
転送交信石が、
ひとりでに――
光を放っていた。
システム室の壁面に、
赤い警告灯が次々と点灯した。
転送交信石「――緊急転送準備。」
静かに告げた。
ヤシロ「……自動転送だと?」
次の瞬間――
るいたちの足元に、
白い光が広がった。
そして――
URU「おかえりなさいませ。
どうやら、転送交信石が呼び戻した様子です」
ヤシロ「なんだか、厄介になってきたなぁ」
にこ「一体どういうことぉ!!」
るい「何なんでしょうか?ヤシロさん」
ヤシロ「転送交信石は、
意思があるのかもな」
URU「転送交信石が、
皆様を“選んだ”可能性がございます」
るい「選んだ?」
URU「はい。そういったこともありえます」
ヤシロ「つまり、俺たちは、
呼ばれたってことかぁ?」
URU「ありえると判断いたしました。」
にこ「むずかしー!」
URU「皆様、お食事になさいますか?それとも、リンリンさんを探しに行かれますか?」
ヤシロ「また……URUは……
探しに行くしかないだろう」
にこ「行こ!
リンリン、待ってるかもしれないし!」
るい「私…ここの湖が気になってる」
URU「湖の調査前に、
皆様の栄養状態を確認いたします」
にこ「またごはん!?」
URU「はい。
空腹状態での任務成功率は、
27%低下いたします」
ヤシロ「……反論できねぇな」
URU「では、軽食をご用意いたします。
その後、湖の調査を開始いたします」
るいは、返事をすることもなく、
窓の向こうの湖を見つめ続けていた。
――その頃。
リンリンの足元に、
小さな光が現れていた。
まるで――
何かが、
彼女を選んだかのように。




