またたび茶
小型宇宙船の窓から、
淡いピンクと水色の混じった
ハートの形をした星が見えた。
にこ「かわいー!ヤシロさん、あの星は?」
ヤシロ「あれが、またたび星だよ」
小型宇宙船が、草原に着陸した。
るい「綺麗!」
にこ「うん!綺麗」
その草原の空気は
ほんのり甘い香りがする。
ヤシロ「またたび星には、マタビアンという宇宙人が暮らしている。見てビックリするなよ?」
と、笑っていた。
ヤシロは続けた。
ヤシロ「この星は、想念銀河で最初に生まれた星と言われているんだ。想念を安定させる中心の星。
平和を保っている星。
昔、大きな戦争を止めた伝説の星」
るい「凄い星ですね」
にこが辺りを見渡していた。
すると、
《テクテク、テクテク》
にこ「わぁぁ!お姉!
猫が二足歩行でこっちに来るよ」
るい「おかしいけど可愛らしいかも」
と、るいはクスッとした。
小さなマタビアンだった。
マタビアンは、ぺこりと頭を下げた。
マタビアン「姫がお待ちしております」
にこ「喋ったー!」
ヤシロ「宇宙言語翻訳用のイヤーカフを付けているだろう」
と、笑って言った。
ヤシロ「案内してくれるようだ。行こう」
草原をしばらく歩いていると、
るい「あれ?」
どこかで見たことのあるような
澄んだ湖があった。
るい「あ…コテージを囲んでる湖に似てる」
その横には、まん丸とした
優しい雰囲気の大きな白いお城があった。
マタビアン「こちらです」
白い廊下をしばらく進み、
お城の一室に案内された。
マタビアンが、ドアをノックした。
姫「どうぞ」
落ち着いた雰囲気の広い部屋に
3人が入ると、
湯気が、静かに立ちのぼっていた。
にこ「えっ……?」
るいも、思わず目を見開いた。
そこには――
小さなお魚型の急須を、両手で丁寧に持つ
ルミニャ姫の姿があった。
にこ「姫が……入れてるの?」
ルミニャ姫は、少し照れたように微笑んだ。
ルミニャ姫「わたくしが、
お客様にお出ししたいのです。
大切なお話をする前は、
まず、心を温めるのが……
この星の習わしですから」
ルミニャ姫は、
またたび星のただ一人の王女である。
住人たちから深く愛されているが、
王族という立場ゆえに、
心から気軽に語り合える友は、
ほとんどいなかった。
ルミニャ姫「千年の時を生きてきましたが、優しさほど尊いものはございません。
何故か…あなた方には
強い優しさが見えます。
だから、お話させてください。
わたくしには……
友達がいないのです。」
ルミニャ姫は、少しだけ目を伏せた。
ルミニャ姫「みんな優しくしてくださいます。
でも——
わたくしと、同じ目線で話してくれる方は、
いませんでした」
姉妹は顔を見合わせ、そして言った。
にこ「じゃあ、今日から私たちが友達だよ!」
るい「うん!」




