氷の部族の壁
にこ「うわぁっ!?でっかい!!」
るい「……雪男?」
ガロ「雪男じゃねぇ!ガロだ!!」
るい「す、すみません」
ガロ「気にするなよ!いつも言われるさ!」
と、ガハハと笑った。
ガロ「さあて、雪がまた積もる前に掘っとくか!」
ガロは、肩に担いだスコップを
軽々と持ち直した。
ガロ「この星はな、油断すると
すぐ埋まっちまうんだ。」
ガロ「それで、あんたら、旅人か?珍しいな!」
ガロは、目を大きく見開いた。
ガロ「……あんた」
一拍、間があった。
ガロ「サカキじゃないか?」
サカキは、静かに頷いた。
サカキ「ええ……久しぶりね、ガロ」
ガロ「変わらねぇな!」
と、またガハハと笑った。
ガロ「あれま!モニターに映ってるの、頼子じゃないか?随分老けたなぁ!」
と、また、ガハハと笑った。
おばあちゃん「ガロさんじゃないかい」
ガロ「……雪は、まだ止まってねぇ」
にこ「止まらないって、どういうことぉ?」
ガロ「……この雪はな、
悲しみが、消えなかった証なんだ」
るい「……誰の、悲しみですか?」
ガロ「何百年も前から、
止むことなく降り続いている」
ガロ「だが――」
ガロ「お前さんのじいさんが来た日から、
雪は、もっと強くなったぞっ!」
その瞬間――
風が、唸りを上げた。
雪が、突然激しく降り始めた。
にこ「うわぁぁ!?」
るい「……急に?」
ヤシロ「この反応……」
サカキは、静かに空を見上げていた。
ガロ「この星はな、
思いに応えるわけじゃねぇ。
――消えなかった悲しみだけを、
溜め込み続けるんだ」
おばあちゃん「……ここから先は、
おばあちゃんは必要なさそうだよ。
しっかり見ておいで。またね。
2人は、"独り"じゃないから」
と、優しく微笑んで、
《ブツッ》
通信が切れた。
サカキ「……来なさい」
その瞬間――
足元の雪が、大きく揺れた。
にこ「きゃー!」
ヤシロ「全員、下がって!」
ガロが、スコップを構えた。
雪の中から、
黒い影がゆっくりと立ち上がった。
それは――
ゆきしずく星の
氷の部族だった。
ガロの表情が、
一瞬で険しくなった。
ガロ「……てめぇら!!」
ガロは、スコップを強く握りしめた。
サカキとヤシロが、
るいとにこの前で
初めて、
本気の武器を見せた瞬間だった。




