場末のロボットママ
ヤシロ「静かな店だから
礼儀を忘れないようにな。」
と、優しく微笑んだ。
ネオン街にしては、ネオンが少ない通りに入った。
錆びれたネオン看板には
「時の止まり木」と書かれていた。
その光は弱々しく、まるで時間に取り残されたようだった。
扉を開けると、店内には誰もいなかった。
るいは、思わず足を止めた。
この店の静けさは、どこか普通じゃない気がした。
にこ「へえ……」
にこは店内を見回し、少し楽しそうに目を輝かせた。
にこ「あれ……?」
カウンターの奥で、ママが静かにグラスを磨いている。その指先が、わずかに金属の光を帯びていた。
その動きは、何千年も変わらない習慣のように見えた。
ヤシロ「ご無沙汰しております、シグレママ。」
シグレママ「久しぶりだね、ヤシロ。
相変わらず、厄介ごとを連れてくるね。」
ヤシロ「お力をお借り出来ればと思いまして…」
と、事情を説明する。
シグレママ「あんたたちが探してる件ね……
確かにあったよ。
でもね、その記録は“消された”んだ。」
店には止まったままの時計があった。
シグレママ「覚悟はあるかい?あんた達?」
と、るいとにこに強めに問いただした。
にこ「あるし!」
と、言い返す。
シグレママ「生意気な子だね、この子」
と、ニヤッとした。
シグレママ「時空図書館へ行きな。もう来るんじゃないよ」
店の奥で、止まったはずの時計が、
《カチッ》
と、3人を見送っていた。




