時を守る者の朝
母は、湯気の立つお味噌汁をお椀によそいながら、静かに口を開いた。
母「あなた……昨日の連絡、本当なの?」
父は新聞をめくる手を止めた。
父「あぁ。本部から正式に通達が来た」
母の肩が、わずかに震えた。
母「もう……あの任務に戻るの?」
父は答えず、しばらく黙っていた。
やがて、低い声で言った。
父「“時空違反者”の動きが活発になっているらしい」
その言葉に、母の手がぴたりと止まった。
母「そんな……また、時空の監視に出るの?」
父はゆっくりと新聞をたたんだ。
父「これは、私の役目だ」
その声は静かだったが、迷いはなかった。
母「でも……あの子たちがいるのよ」
父「分かっている」
父は、ふっと小さく息をついた。
父「だからこそ、守らなければならない」
母「……まだ、正体を隠し続けるの?」
父は一瞬だけ、視線を窓の外へ向けた。
朝の光が、静かに差し込んでいる。
父「その時が来るまではな」
母「もし……あの子たちが気付いたら?」
父は、ほんの少しだけ微笑んだ。
父「その時は――
胸を張って名乗るさ!」
母「……何と?」
父は、ゆっくりと言った。
父「時空警察の一員だと。」
その瞬間。
台所の時計が、
カチッ
と大きな音を立てた。
しかし次の瞬間。
時計の針は、何事もなかったかのように動き出していた。
それは――
ただの朝の出来事のようでいて、
るいとにこの運命が、静かに動き出した朝だった。
母が一瞬、
こちらを見た気がした。
――目が、合った。
どこからか、
とても懐かしいやさしい声が聞こえた気がした。
――どんなことがあっても、
姉妹なんだから、
一人じゃないよ。
るいとにこは、
ハッ!っと、
同時に目を見開いた。
記憶の装置から、
勢いよく目を覚ました。




