優しいコスモス畑
《ガタガタガタッ》
にこ「ちょっと!ヤシロさん、操縦が下手になったんじゃない?」
ヤシロ「おい!お前!よく見ろよ」
リンリンが宇宙船の窓に
ちょこんと手を当てて、景色を見渡していた。
リンリン「凄いです!コスモス畑ですぅ!」
るい「わぁぁ!」
にこ「え?なになに?」
にこは、慌てて窓から景色を見渡す。
にこ「綺麗!」
ヤシロは、コスモスを潰さないように
崖に着陸していた。
にこ「なんだー!ヤシロさん、逆に凄いじゃん」
にこは、クスクス笑っている。
ヤシロ「このコスモスはな、ただのコスモスじゃない。想われコスモス。誰かが大切に想ってきた気持ちが、このコスモスになって残っているんだ。だから、潰すなよ。気をつけろよ」
ヤシロは、手招きしながら、
誰も踏まないように、
自然とコスモス畑の間にできている
一本の細い道を歩き始めていた。
その一本道も――
昔から想いシカが歩いてきた道。
3人は、ヤシロの後に続いた。
リンリン「リンリンのも、あるでしょうか?」
ヤシロ「あるんじゃないか?想いシカに会えたら導いてくれるはずだ」
るい「会いたいね、リンリン?」
リンリン「はい。想いシカさんに会いたいです」
にこ「コスモス畑しかないのかな?」
ヤシロ「だから、人は長居は出来ない。暮らせないだろう?」
にこ「なるほどね……」
《テクテク、テクテク》
コスモスを揺らす風の音に混じって、
リンリンの小さな足音だけが静かに響いていた。




