古い家族写真
コスモス畑を歩いていた…
風がふわっと吹いた。
遠くでコスモスが静かに揺れる――。
そこには――
一頭の想いシカが静かに立っている。
誰も気づかなかったのに、
にこのモウモウちゃんだけが、
その方向を向いていた。
にこは、何となく立ち止まった。
にこ「あれ?って?!?!」
リンリン「想いシカさんですっ!」
るい「本当だぁぁ!」
ヤシロ「おぉ!こりゃすげーや!」
想いシカが、静かに近寄ってくる。
近づく、優しい瞳。
コスモスを一本も踏まないように、
静かに歩いてくる。
リンリン「……想いシカさん」
想いシカは、にこの前で立ち止まる。
にこは、モウモウちゃんをそっと抱きしめた。
《コクン》
想いシカは、静かに頭を下げた。
るい「……お辞儀、してる!」
ヤシロ「想いシカはな……」
優しく微笑む。
ヤシロ「大切に想い続けてきたものへ、敬意を表してるんだ」
リンリン「だから……モウモウちゃんにも」
想いシカは、もう一度ゆっくりと頭を下げた。
静かなコスモス畑に優しい風が吹く。
一面のコスモスが、
まるで拍手をするように揺れていた。
想いシカの角には、
綺麗なコスモスが咲いていた。
一輪のコスモスが、リンリンの前に落ちた。
そして――。
《フワーッ》
一輪のコスモスは、古い写真になった。
リンリンが、ソッと拾い上げた。
リンリン「これは……リンリンとマミーとランランの家族写真です」
にこ「何?このメッセージカードみたいなの?!」
にこが気付いたメッセージカードは、
写真と一緒に、コスモスから変化したものだ。
~写真は、 思い出を閉じ込めるものではありません。
大切な想いを、 思い出させてくれる優しい宝物です。~
そう書かれていた。
リンリン「きっと……想いシカさんからのメッセージではないでしょうか??」
リンリンは、
古い家族写真を――
胸にそっと抱きしめた。




