まだ誰も知らない想い
4人は宇宙船の中にいた。
ヤシロ「火山にビックリするなよぉ」
リンリン「ワクワクしています!」
ヤシロ「転送交信石はな、昔からあるけど、イマイチよく分からないものなんだ……UNKNOWN SIGNALも、なんなんだかなぁ……」
にこ「ふーん。そうなんだぁ。故障してるのかな?」
ヤシロ「故障なんかしたの、見たことないぞぉ。もう息石星に着くぞ。あの赤い星だ」
《ウィーン……》
宇宙船のハッチが開く。
にこ「火山ばっかり!石ばっかり!」
《シャッ……シャッ……》
石を磨く音だけが静かに響いていた。
老人は、小さな転送交信石を布で丁寧に磨いている。
にこ「おじいちゃん!その石、転送交信石?」
老人「ああ、そうじゃよ」
るい「作っているんですか?」
老人は少し笑った。
老人「いや、わしらは磨くだけじゃ」
にこ「え?どういうこと?」
老人「転送交信石はな。昔から、人類の想いが積もって生まれたと言われておるんじゃ」
にこ「想い?」
老人「あぁ。誰かを心配した気持ち。会いたい気持ち。感謝の気持ち。そういうものが長い年月をかけて石になる……と伝えられておるんじゃよ」
るい「伝えられている……?」
老人「伝えられているだけじゃ。よくは分からずに、わしも磨いておるんじゃ」
そう言って老人は肩をすくめた。
老人「学者たちも調べた。委員会も調べた。だが、本当に想いから生まれたのかは誰にも証明できんかったんじゃよ」
《シャッ……シャッ……》
老人は再び石を磨く。
老人「じゃがな」
にこ「うん」
老人「不思議なことに、乱暴に扱われた石は言うことを聞かない意思を持つ石になり、大切にされた石は長く光り忠実な石になるんじゃ」
るい「……」
老人「だから、わしは想いから生まれたという話は、嫌いじゃないんじゃよ」
にこ「UNKNOWN SIGNALって、転送交信石が言い出したらどうしたらいいの?」
老人「UNKNOWN SIGNALか……昔から言い伝えはあるんじゃ……まだ誰も知らない想いが転送交信石に共鳴して、発していると言われていたりもするんじゃよ」
るい「まだ誰も知らない想いですか??」
老人「そうじゃ。あんたらも誰にも話していない想うことがあったりするじゃろ?それを転送交信石は、きっと知っているんじゃよ。わしはそう思っていて、興味がいつの間にか仕事になっての……磨き続けてるんじゃ。じゃが……UNKNOWN SIGNALの正体が分かったという話は、わしはまだ聞いたことがないんじゃよ。想いが届いたら消えるんじゃろうか?と、長年考えているんじゃ」
ヤシロ「貴重なお話をありがとうございます。少し、街に出てみます。」
老人「まぁ……旅人さん達。ここの星の火山は、穏やかな火山じゃ。安心して街へ行くといい」
老人の元を後にする。
るい「転送交信石って、凄く繊細な石だったみたいですね……」
にこ「うるさい石なだけかと思ったのになぁ」
ヤシロ「転送交信石は、奥が深いようだ」
リンリン「リンリンもコテージに帰ったら、転送交信石を磨いてあげたいです!」
ヤシロ「知らないのか?URUがいつもやっているよ」
るい「えっ?URUちゃんが……?」
リンリン「そうだったんですかぁ!」
ヤシロ「あいつは、人より人らしいのかもしれないな。さぁ、街へ行ってみよう」




