花守(はなもり)便
《ウィーン……》
宇宙船のハッチが開いた。
にこ「んっ??」
何故か、どこか懐かしいような……
地球に似ている普通の街並みが並んだ星だった。
《テクテク、テクテク》
リンリンが一目散に歩き出していた。
リンリン「お花屋さんがありますぅ!」
そこには、もう来るのを知っているかのように
店の入口のベンチに腰掛けている
優しい雰囲気のおばあちゃんが居た。
ヤシロ「あの人……なんか普通に見えて、普通じゃないなぁ……」
にこ「話しかけてみよう?!」
宇宙船から降りた4人は、
花屋に向かって歩き出していた。
世見乃「いらっしゃい。来たようだねぇ……旅人さんたちが……」
ニコッと笑いながら、花に触れていた。
るい「えっ?!」
世見乃「風が知らせてくれていたさねぇ」
にこ「そんなことある?」
世見乃「あるんさねぇ」
ヤシロ「あなたが世見乃さんですね?」
世見乃「そうさねぇ。私に用事のようだね。中にお入りなさいねぇ。
風便り星では――
花の蜜
花びら
風
を使って、私が透明な封筒を作っているさねぇ。
その封筒は、
手紙を守る
風に乗せる
想いを届ける
役目を持っているさねぇ。咲き風封筒っていうさねぇ。」
世見乃は、ただの花屋ではなかった。
普段は、花に水をやり、花束を作り、
子供達と話す普通の花屋のおばあちゃん。
しかし――
夜になると、
花の蜜を集め、透明の封筒を作り風へ託す特別な役割をしている、風便り星の住人だった。
中へ通された4人。
世見乃「さぁさぁ座りなさいねぇ。あのね……花守便は隠し事ができないんだよ。本当に届けたい想いだけが風に乗るのさねぇ……花の蜜から作られているからねぇ。花が読めない手紙は風も運べないんだよ」
もう、何が起きているか
お見通しのような言葉だった。
街の子供「読子さーん!押し花をしたくてね、何でもいいの。少しお花ちょうだーい!」
にこ「読子さん?!」
世見乃は、クスっと笑い、
世見乃「いつの間にか、あだ名がついていたさねぇ」
と、言いながら、子供にお花を分けてあげていた。
街の子供「ありがとう!読子さん!それとね、たんぽぽ摘もうと思ったら、刈られちゃったよ……また来るねぇ」
世見乃「たんぽぽは刈られてしまったけれど、 またどこかで咲いているさねぇ。気を付けて帰るさねぇ」
ヤシロ「それで……あのですね……」
世見乃「分かっているさねぇ。その手紙達は、ちゃんと預かって、ちゃんと届くようにするさねぇ」
るい「えっ?!」
にこ「なんで分かったの?」
世見乃「私が作った封筒さねぇ。文字は見てないよ。でもねぇ……想いはもう聴こえているさねぇ」
るい「え……あ、ありがとうございますっ」
リンリン「マミーとランランに届きますか?」
世見乃「もう届いているさねぇ。きっと……」
咲き風封筒が、手元から消えていた。




