炭火に消える黒い音
いつの間にか、4人は、
ラーメン屋の前まで戻ってきていた。
にこ「疲れたぁぁ」
るい「結構歩いたね」
リンリン「お腹が空きましたぁぁ」
にこ「リンリン、またお腹空いたの?」
目を丸くしながら、クスッと笑う。
ヤシロ「ラーメンはさすがにもうやめよう」
呆れた顔をしていた。
リンリン「あれ?あれは何ですか?」
リンリンが指を差していた。
ラーメン屋の屋台の店主「あれは、ひずみダレ焼き鳥だ!」
にこ「何それ?またひずみ?ひずみが好きだね、みんな」
屋台の店主「あれも黒いが、美味いからオススメだよ!ラーメンはもう食わないなら、さぁ、どいた!どいたぁ!」
ヤシロ「じゃ、焼き鳥食べるか?リンリン?」
リンリン「はいっ!リンリンのお腹が欲しています!」
ヤシロ「なんだ、それ」
4人は笑いながら、ひずみ焼き鳥の屋台の目の前まで来ていた。
そこには――
るい「た……田口さん?!」
田口「わぁ!!ビックリした!るいちゃんに、にこちゃんじゃないか!」
にこ「何で、ここに?」
田口「いやぁ……色々調べてたら、この街に来ていて……」
ヤシロ「この方は?」
るい「田口さん。お父さんの同僚です。」
ヤシロ「じゃ、時空警察の?」
田口「初めまして。田口です。」
ヤシロ「初めまして。僕は宇宙時空委員会特別対策室のヤシロです」
田口「え……?あの特別対策室の?噂には聞いていますが……こんな形でお会いするとは思いませんでしたね」
田口は、少しニヤニヤしていた。
ヤシロ「何か分かったことはありました?地球人さんは」
田口「えっ……?」
ヤシロ「いや……分かったかなぁ?って」
田口「いやぁ……頼子さんが不思議だなぁ。くらいですね」
ヤシロ「不思議?」
田口「はい。地球ではあの日のままです。」
ヤシロ「まぁ、そうでしょうね……」
るい「あの日のまま?」
にこ「えっ?初耳なんだけど!?」
ヤシロ「言う必要あったか?普通のことだ。その日に戻ればいいだけなんだから」
るい「えっ……?でも戻れないんじゃ?」
ヤシロ「生死は変えられない。誰も戻れないとは言ってない。」
にこ「えー?じゃ、私たち実質1日をずっと過ごしてるみたいな?」
ヤシロ「まぁ、そんなところだな」
にこ「でも、地球の1日は進んでるんだよね?」
ヤシロ「あぁ……まぁ、そんな難しい話したって分からないだろ?それより何を学んできたかが大切なんだよ」
るい「凄く……深い経験をしてる気はしています」
田口「それは良かったよ。じゃ、まだ用事があるから私は行くよ」
田口は、何かを感じ取ったかのように、そそくさと屋台を離れていった。
にこ「ちょっと……田口さーん?!……行っちゃった」
ヤシロ「まぁ、いいだろ」
にこ「う、うん……」
リンリン「焼き鳥食べませんか?」
ヤシロ「そうだなっ」
焼き鳥屋の店主「メニューは2つしかない!」
にこ「えっ?2つだけ?」
焼き鳥屋の店主「ももと皮。秘伝の特製ひずみダレだ!」
リンリン「わぁ!これも真っ黒なのに、なんだか輝きがあるタレですねぇ」
焼き鳥の店主「《カチッ》となるから気をつけろよ」
串と串を
《カチッ》と鳴り合わせた。
るい「田口さん……何だったんだろうね?」
にこ「んー、何だろう?こんなところで」
ヤシロ「まぁ……頼子さんに頼まれたんだろ。気にするなよ」
るい「おばあちゃんに?」
ヤシロ「恐らくなぁ」
《カチッ》
《パチッ》
炭の音で、すぐに掻き消された音。
焼き鳥の店主「はい!お待ち!ももと皮!」
リンリン「わぁ!美味しそうです!いただきます!」
ムシャムシャと、リンリンが食べ始めたが、
リンリンが急に食べるのを止めて黙った。
にこ「どうしたの?リンリン?」
リンリン「この旅が終わったら、リンリン、マミーとランランと一緒に仲良く暮らします」
るい「それは、いいことだね。そんな味がしたんだ?リンリンには」
リンリン「はいっ!!」
《カチッ》
《パチッ》
炭火の音にすぐに掻き消されていた。




