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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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負の螺旋

「くっ、いきなり全軍突撃だと!?兵法を知らん奴等め!!」


「応戦いたしますか?」


「無用だ。彼奴等の攻勢は枯草についた火のようなもの。相手にすれば手酷く火傷を負うが、一歩身を引いて模様を眺めればすぐに勢いは弱まる。我らは予定通り防御を固め、援軍を待つ。用意した荷車で簡易な防壁を作れ!!数時間であれば十分に凌げる!!決してこちらから討って出るな!!」


 南部軍は予め長期戦になる事を想定して用意した大量の荷車を盾がわりに、陣形を再構築する。

 叛乱軍の討伐を目的に出陣した国軍としては些か弱気な戦術ではあったが、眼前に脆弱ではあっても身を守る防壁が生まれたことは、兵士達を混乱の渦から救い出すのに大いに役立った。


 一方で本格的な衝突が起こると考えていた北部軍の兵は、南部軍の予想外の行動に虚を突かれたのか、全力で駆けたことで乱れた隊列を整え、相手の隙を探る。


「南部軍は陣を固めるようです。会戦を挑んでおきながら、今さら守備的な布陣を敷くのは矛盾した行動に思えます。援軍がすぐ近くまで来ているのではないでしょうか」


「それならば援軍の存在を悟られぬよう、前衛だけでも形だけ攻勢を見せ、真意を隠すものだ。それにここは会戦が出来るだけの平地こそあれど、四方を崖地と丘陵に囲まれた盆地。双方が抑えている街道を除いて、大軍をもって攻め寄せるのは不可能だ。………しかし、あの愚か者がこの事態を想定しておらんとは思えん。哨戒を厚くし、後方からの奇襲に備えよ。退路さえ断たれることがなければ、援軍など恐るるに足らん。臆病者どもが余計な小細工を弄する前に一息に叩き潰せ」


 ルグレイス公の命を受け、鐘が鳴らされ、戦場に笛の音が響く。

 重装歩兵が荷車を砕かんばかりの速度で攻め寄せ、南部軍は荷車で拵えた簡易防壁越しに弓で応戦する。


 しかし、南部軍は連携不足からか功を焦ったのか、煽られるがままに防衛ラインを超え突出する部隊が続出し、また北部軍はあえて敗走したと見せかけることで戦線を巧みに作り変えていく。


「愚か者が!!荷車を盾にして守備を固めろと命じたではないか!!」


「いかがしますか。このままでは戦線が伸び、乱戦となります」


「構わん、突出した部隊は見捨てよ。現有戦力で穴を塞ぐのだ。馬鹿どもが戻ってこようとも、一度餌に釣られ他家の門をくぐった犬を快く迎え入れる道理はない。防御網を緩めることはまかりならん、見せしめにもなる、見殺しにせよ。改めて全軍に通達!!軽挙妄動は厳に慎むべし!!たとえ軍規を侵して手柄を立てようとも、勲功ではなく罰則をもって応じるとな!!」


 指揮官による厳命が功を奏したのか、手柄目当てに勝手に攻勢に出た部隊の多くは致命的な被害を受けるまえに陣に戻ってきた。

 しかし、敵にうまく釣り出され囲まれた部隊の多くは、包囲され各個撃破されていく。


 戦場に血の匂いが広がり、その不快な臭気が兵士達から理性を奪っていく。

 勇敢にしろ臆病にしろ、一度理性の箍が外れた兵は、周囲の狂気に当てられたかのように、自分自身の命を賭け金として差し出し、戦争という非生産的なギャンブルに身を投じる。


 同じ国の民相手に戦意の上がらなかった者も次第に敵を憎むようになり、見知った顔の死により負の螺旋は際限なく人々の感情を飲み込んでいく。


 それはフェルリオールの詐略により生み出された地獄の一端のように思われた。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。

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