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異世界ハーレムは義務です~0からはじめる建国物語~  作者: 碧い月


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突破

「ちいっ、話が違うねえ!!こういうのってさぁ、お姫様を助けたら、何もかも全て上手くいくものじゃない。内乱が終わらないんじゃ、ハッピーエンドとはいえないねえ」


 馬上のエランは方々から聞こえる鐘の音から戦端が開かれたことを悟り、小さく舌打ちをする。


「エラン様、これ以上崖に近づくと敵軍に見つかります。迂回路もありますが………」


 テオの言葉通り、エランは戦場にぽっかりと空いた軍事的空白地帯を抜け、徐々に南部軍の陣地内に近づいていた。

 ミナトとシャルロッテのいる崖地に至る経路は複雑であり、助けに向かうまでに両軍の勢力圏を縫うように移動する必要があった。

 時間は余計にかかるものの、迂回路を使い慎重に進もうというテオの提案は、一定の合理性を有していた。


 加えて最終的な目的地となる崖地、つまりミナト達のちょうど真下には、南部軍の中でも強硬派で知られる貴族が独断で兵を送り込んでおり、正面突破によりその一軍を蹴散らし二人を無事救出するのは、容易なことではないように思われた。


「テオ、いつも危険な目にあわせてすまない。だけど、このままじゃミナト達の命が危ないじゃない。敵さんにも魔法詠唱者はわんさかいるだろうしねえ。一刻も早く助け出して、戦場を離脱しないと不味い。頼ってばかりで悪いけど、また力を貸してくれないか」


「もちろんです!!この命はエラン様に拾って頂いたものです。エラン様の願いは僕の願い。何でもお命じになってください」


「ありがとう、テオ。だけど、二つばかり訂正させて欲しいねえ。テオの命はテオのものだ。そしてテオの願いもまた俺の願いだ。少々危ない事に首を突っ込むけど必ず守る。二人で英雄ってやつになろうじゃない。おっと、早速英雄譚の始まりだ。捕まっててくれよ」


 道の先に敵影を発見したエランは、自らとテオの跨る愛馬を巧みに操りながら、ミナト達を乗せるための空馬も適宜手綱を引き、全速力で駆け抜ける。


「なんだ、貴様ら!!止まれ!!」


「止まれと言われて、はいそうですかと言うことを聞くような素直な男に見えるかい?英雄って奴は少しばかり我儘で強引で自分勝手なのさ。その方がモテるしねえ。申し訳ないけど、力づくで通らせてもらうよ」


 エランは穂に覆いを被せた長槍をグルリと回し威嚇すると、それでもなお行く手を遮ろうとする兵の肩をすれ違いざまに軽く突く。

 馬の速度と体重が存分に乗ったその一撃は、命を奪わないよう相応に手加減はしているものの、一兵士にとっては強烈無比であり、すぐさま転倒し激痛に悶絶する。


「ゾーリー、ちょっとやりすぎたかな。どうだい、君達は素直に通してくれると助かるねえ。死なないように加減は出来ても、肩が砕ければ一生涯女性をお姫様抱っこ出来なくなるじゃない」


 分厚い笑み、そして肉体から溢れ出る気迫に気圧され、兵士達はエランという突風に巻き込まれないよう、左右に分かれ道を開ける。


 何分ほど馬を走らせただろう。

 幾重にもわたる哨戒網を突破したエランは、崖下まであと僅かという場所で手綱を緩め、呼吸を整える。


「珍しいねえ。この地方じゃ木に人がなるのかい?おまけに弓まで持って。ちょうど未来の妻に語るための土産話を探してたんだ。そんな所で待ち伏せなんて止めて、下りてきてくれないか」


 どこまでも明るいエランの物言いに呼応するように、狙撃のために木の上に隠れていた兵達が姿を見せる。

 数十からなる敵勢は、あたかもジェベルの未来へと連なる扉を封じる門番のようであった。

面白かった、これからも読みたい、AI先生による絵が可愛いと思った方は是非、☆評価、ブックマーク、感想等をお願いいたします!!

基本毎日投稿する予定ですので、完結までお付き合い頂ければ幸いです。

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