影の在り方
「おいっ、お前ら生きてるか!?」
「ええ、何とか………」
「いや〜、地面が崩れて土砂に飲み込まれるとか、一生に一度も経験したくないワイルドで刺激的な体験だね」
デボラ達は自らの上部を覆う分厚い土砂を掻き分け、地上へと這い出る。
先程まで平坦だった荒野は、地中に埋まった爆薬が数百トン単位で連鎖的に大爆発を起こしたかのようにグシャグシャに崩れ、土煙が濛々と立ち込めている。
「凄えな………」
「六大魔公が神だって言いたくなる気持ちも分かるね。少なくとも、僕は同じ人間だとは思えないかな。ひょっとしてリオちゃんって女神かなにか?」
「女神にしては随分野蛮じゃないですか?もう少し私達への配慮が欲しいです」
「十分配慮した」
リオはハッと顔を見上げる少女の腕を雑に掴み、畑から野菜を引き抜くように地面から助けあげる。
「なんか扱いが犬猫以下な気がしますが、感謝します」
「んっ、とりあえず終わった。ミナトのところに戻る。………どうやって??」
リオは首を真横に傾け、デボラ達をジッと見つめる。
そのガラス玉のような瞳には何も変化のない現状について、言外のうちに責めるような色合いが浮かんでいた。
「………おかしいですね。この世界はフェルリオールが創造した異空間のはず。魔法で新しい座標に任意の空間を創出した場合、術者が死ねば魔法が発動した場所に自動的に帰還するはずなのですが、純粋な転移魔法だったのでしょうか。死ぬと呪いと化す邪法もあると聞きますが………」
「長い、3文字で」
「やべえ、ってことだろ?まさか………」
「そのまさかです」
頭上から聞き覚えのある声が降ってくる。
それは討ち果たしたはずのフェルリオールのものだった。
「………嘘つき」
倒すべき敵が健在であることを確認し、リオが口を開く。
その呟きはデボラ達に向けられているようでも、フェルリオールに対して投げかけられているようでもあった。
「私の本体が大地そのものだと推測を立てたのですね。一瞬ヒヤリとしましたが、命拾いしました。残念ながら、まだまだ舞台は続いています。延々と繰り返される滑稽な人形劇、些か退屈かとは思いますが私の全てをかけた作品、どうぞ最後までご堪能ください」
「くそっ、また振り出しかよ!!………すまねえ、リオ」
「謝る暇があったら正解を導き出すべき。時間がない。私は斬り続けるから、後は任せる」
リオは気落ちすることなく、魔法を繰り出そうとする大悪魔の腕を切り落とすと、再び生と死の螺旋へと飛び込んでいく。
「おいっ、露出狂、敵さんを無視してミナトの所に帰る方法はねえのか??リオの力があれば、異空間ってやつだって切り開けるんじゃねえか」
「可能だとは思います。ですが、その場合元の場所に戻れるかは完全に運次第です。リスクが高すぎます」
「フェルリオールの謎を解くしかないね。でも地面じゃないなら何処に隠れてるのか、皆目見当もつかないなぁ。とりあえず次は太陽でも斬ってみる?」
「ふざけてる場合かよ!!剣が届かねえ物をどう斬るってんだ!?空に浮かんでるもの斬りてえなら、一度地面に引きずり下ろしでもしねえと………待てよ」
デボラはそこまで言ってから、自分の発言に強烈な違和感を覚え、口に手を当てる。
「太陽退治のナイスアイデアでも思い浮かんだんですか?」
「………そうか、それならアイツの焦り具合にも合点がいく。露出狂、バカ、耳を貸せ」
「シンプルに酷くない!?」
デボラは不平不満を顔中にみなぎらせるライノスと反論しようとする少女の頭を大きな掌でがっしりと掴むと、強引に自分の口元へと引き寄せ、何かを耳打ちした。
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