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鉄牢  作者: りょう
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勝利なのか!

一進一退を繰り返しながら、クイーンビーのHPを最後の1本まで減らした。

いつの間にか美香も喋らなくなり、ヘッドフォンからは敵の羽音だけが聞こえている。

そして、前方にはホバリングしている女王蜂がこちらを伺っていた。

ヘッドフォンから聞こえてくるボスの羽音が微妙に変化した。

今までの甲高い羽音から、少し低い羽音に...

そして女王蜂は静かに地面に降り立った。

女王蜂の体表を被っていた黄色と黒の警戒色が黒っぽく変わっていき、

わずかだが、その羽が長く伸びた。

多分攻撃パターンの変更だろう。よくある第二形態ってやつだ。

警戒しながら、その動きを見逃さないように正面から左に少しずれる。

リクは右利きらしいので剣は右手に持っている、現在盾は装備していないため、

右に敵の正面が来るように動いたのだが、それが正解。

再び羽音が高音を奏で始め、そして唐突にクイーンビーが俺の右前方に現れた。

一瞬で俺の右前方に移動したクイーンビーは

近距離から上体をそらしお尻の針を俺の方に向け刺しに来た。

避けることより、パニックになった俺は剣を振った。

剣はボスを切り裂き、ボスの針はいつの間にか右後ろにいたイモムシの放った

糸の膜に遮られていた。

ボスは後退し、糸の届く範囲から逃れたが、

その速度は、先ほどの移動速度をはるかに上回る。

おそるべし、第二形態。

羽音がいっそう高く響き、その音に呼応するように、複数の羽音が聞こえてきた。

また、お供が現れたようだ。イモムシが羽音の方に移動する。

俺は先ほどの突進を警戒しつつ、直進、先に近づいて切り刻んでしまえ。

しかし、ボスは俺から距離をとったまま上体をそらしお尻の針を向けと、

そのまま、針を飛ばしてきた。

ダメ元で剣を振るう。キィーンという音がして、ダメージは無い。

もしかしてはじき飛ばせたのか?

技を放った為、硬直している女王蜂に近づき「上段切り落とし」、

そのまま「左切り払い」、返す刀で「右切り払い」

最後に「右下方からの切り上げ」の4連コンボを繋げた。

クイーンビーの最後のHPバーが3割減少した。

コンボを受けて地面に落下したクイーンビーに追い打ちをかけるべく、

俺は正面から接近する。そして突然ボスの姿が正面からかき消えた。

何もない空間に向かい突進する俺、それを後ろからそのお尻の針で襲いかかるボス

致命的なミスを犯したことに気がついたが、すでに遅く、

俺のHPは2割を残して急激に減少していく。

そして俺はクリティカルを受けて硬直していて動けない。

一度下がったボスがその牙をガチガチならしながら滑るように接近してくる。

そして俺とボスの間に割って入ったイモムシを一瞬で食いちぎった。

イモムシをくわえたまま女王蜂は、また一旦下がり、

イモムシのHPが完全に赤く染まった瞬間ポトリとその場に落とした。

少しずつイモムシの赤いゲージが減っていく。

鉄牢におけるHPの喪失はこのゲージが全て消えた時に認識され、

敵、味方を問わず死亡として処理される。

女王蜂の羽音が再び高くなり始めたとき

俺は女王蜂に向かってジグザグに走り始めていた。

そして羽音が消えた瞬間俺は右にしゃがみながら回避をする。

単なる賭けだが、俺の予想通りの展開だったようで、先ほど俺のいた場所に技後硬直しているクイーンビーが居た。

「う・・・おおッ!!」

「いっけぇー。」

美香の声が俺の方向に重なる。

そして女王蜂に吸い込まれるように放つ重突進技「ルオシュアンチシ」

青く輝く剣がクイーンビーに重なり、クイーンビーのHPが2割減る。

地面に落ちた女王蜂と技後硬直をしている俺、今回は俺のほうが早く動き出せた為

接近状態から畳み掛けるように再度放つ重突進技「ルオシュアンチシ」は、

クリティカル判定を受けたためクイーンビーの残りのゲージを一気に削りきった。

赤くなった女王蜂のゲージが消えるのも待たず、

俺は技後硬直がとけた瞬間まだわずかにゲージが残るイモムシに近づくとポーションを

使った。一瞬ゲージの減少が止まるが、またわずかづつ減り始める。

「なんでだよ、なんで回復しないんだよ。」

「リク!後ろ!」

美香の声で、ポーションの操作で開いていたアイテムウインドウの影に隠れて

最後の力を振り絞って女王蜂が俺に突進してきていた事に気がつく。

なんてやつだ、これがボスの意地なのか!

そして俺はイモムシにはじき飛ばされていた。

ボスのHPが完全に消失するのと、イモムシの最後のHPが消失するのを

はじかれた場所から何も出来ずに俺は見ていた。

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