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鉄牢  作者: りょう
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アイテム

「繭の姫、聞こえているんだろう、その、すまない。」

大きな樹を前にして、俺は声をかけた。

俺の前には、素材と変貌したクイーンビーの羽と甲殻、

少し離れたところに並んで落ちている一本のハリと緑の宝石だった。

俺の下にもう一匹のイモムシが現れた。

今まで大スズメバチを引き受けてくれていたんだろうHPは3割まで減っていた。

イモムシは触手を伸ばし、落ちていた緑の宝石をつかみあげると俺の方に向け、

トレードウインドウが開いた。

「緑の核石を受け取りますか Y/N」無言でYを押す。

アイテム欄に緑の宝石が移動した。

「・・・イリスは、自分の役目を果たした。

・・・お前も精一杯自分のすべきことを成した。

悲しむな。お前に渡した指輪とイリスの意思を合わせるがよい。

・・・そのほうがイリスも喜ぶ。」

トレードウインドウを開き緑の宝石を取り出す。そして右手の指輪を使った。

「繭の姫の加護の指輪がリユセジフアンに変化した。装備しますか Y/N」

Nを選び指輪をアイテム欄に戻す。

ボスドロップの素材アイテムを拾い、残ったイモムシのアエスの後について、

先ほどの繭の姫の部屋まで移動した。


部屋に戻ると、美香と繭の姫が談笑していた。

俺が戻ってきたことがわかると、急に表情を引き締める。美香は笑顔のままだ。

「・・・幼き者、いやリクよ、此度は依頼に応えてくれてすまなかった。

お前に貸し与えた指輪は、報酬としてお前に預けよう。いつの日かお前の身を守る盾となりお前の目的を果たす剣となろう。今からお前たちを送り返す。では、またな。」

最後ににっこりと微笑んだ。

そして暗転した画面が明るくなったとき。

俺たちは街道沿いに立っていた。


街道沿いの石畳の道に沿うような形でまばらに生えた立ち木の一角に集まって

俺たちは、それぞれのアイテム欄を確認していた。

レーニィは特に目新しいものはなく、俺は、ボスドロップの素材一式と緑の指輪が一つ

しかしこれは非交換アイテム扱いでさらに既に装備されていた!

なぜ?怪しいから装備しないでおこうと思ったのに、勝手に装備されているんだ!

しかし装備されたことで補正のかかった能力もなく、呪われた形跡もない・・・

仕方ないので無視してしまった。現実から目を外らすのもいいよね?

そして美香は

「じゃじゃん。これなーんだ。」

そのアイテムはコインのような形をしていた。

「まゆゆとおしゃべりしててもらっちゃった。いいでしょう。」

「突っ込むのも嫌なんだが、まゆゆってのは繭の姫か。」

「他にいないっしょ。それよりもなんだと思うこれ?

 あ、レーニィは言わないでね。」

空気の読める佑はボソっと、「実は俺も同じものをもらった。」といった。

コインか?それとも何かのアイテムか?

「ううん。マルカン草。」

「え?」

「私たち、まゆゆにお願いしちゃったのよねー。」

「そして、頂いたんだよね、美香ちゃん。」

さらりととんでもないことを言いやがりましたね。

ボスモンスターと取引してレアアイテムゲットって

どんだけ交渉上手なんでしょうか?

「大して貴重な品ではないみたいだったよね。美香ちゃん。」

「うん、お菓子の材料になるんだって、食べると甘いらしいよ。」

そうか、イモムシ的には甘いのか。

人に使うと薬なんだよな。きっと。

「そんなわけで、リク、そろそろ教えてくれるかな、

なんでマルカン草を探していたのか?」

「佑、お前まで・・・」

「あのさ、バレバレなんだよね、あんた、絶対隠し事とかできないタイプだから。」


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