第三話:「死合い」
「お前が俺に何をしたのか、その身体に刻んでやる」
「はっ?魔物倒して、なにキレてるの!?」
リナウスは異空から魔剣を取り出し、カテラに接近する。しかしカテラは即座にリナウスの攻撃を剣で受け止める
「聞け、リナウス!お前が殺した魔物はただの魔物じゃない……俺の妹だ……唯一の肉親だ!」
「で?」
一切の同情もしているようには思えない声色でリナウスは相槌を打った
「なっ…!」
その反応にカテラは言葉を失う
「アンタの妹だからなに?魔物は魔物、倒して当然なのよ。そんな事も分からなの?」
「彼女は魔王の呪いで変貌したんだ、まだ治る余地があった!」
「治らない、あの呪いは肉体を基本構造から作り変えるの……たとえ魔王を倒しても決して治ることはない」
「前例を見たのか?!」
「見てないけど手に取るように分かる、魔物に変貌した時点で死んだも同然よ」
「お前っ!!」
カテラはリナウスの魔剣を押し返し、吹き飛ばす
「潰す」
カテラはリナウスに急接近する
「アンタ…誰にそんな大口叩いているか、分かってんの!?」
リナウスは魔剣を振り、一太刀で道を両断する。そして地面から無数の岩の柱が出現させ、カテラを攻撃する
「(っく!これは岩属性の魔剣…大地を操るとか──無法過ぎだろ!)」
「その程度?」
リナウスは容赦なくカテラを斬り裂く
「ぐっ……(流石に真正面からじゃ勝てないか)」
「その程度で、よく勇姿パーティーのサブアタッカーを務められたものね!」
リナウスは魔剣をカテラの腹に刺す
「おお''うっ……!」
カテラは吐血しながら片膝をつく
「終わりよ。ここで……死になさい!」
リナウスが魔剣を振りかぶる
「…………」
「……………………」
「正直、これは使いたくはなかったんだが……仕方ない」
カテラの左目が紫色に光り、次の瞬間リナウスが吹き飛ばさせる
「うっ……(一体何が起こったの…?!)」
カテラの傷は癒え、カテラの背後には一匹の魔獣が聳え立っていた
「っ!!(カテラの…傷が癒えて───あの魔獣は一体……)」
「"麒麟"、全てを貪れ」
「うぅ""っ!!」
『麒麟』がリナウスの身体中を殴りつける
「このっ!」
リナウスが『麒麟』を斬るが、傷をつけるには至らない
「(何なのよ…この化け物っ!)」
カテラがリナウスに雷撃を直撃させ、右腕を吹き飛ばす
「あぁッ"!!……よくも!」
「俺が今までに負った苦痛に比べれば大したことないだろ……負けを認めて…今までのことを謝るなら今回だけは見逃してやる」
「謝る?ふふっ…笑わせないでよ」
リナウスの右腕が再生する
「(腕がっ!)」
「アタシに……何の罪があるって言うの!」
リナウスがカテラに接近し、圧倒する
「(っく、急に速度が!)」
「麒麟」が上空から落下し、地面を割りながら衝撃波を発生させ、二人を離す
「っ!(あの魔獣……アイツの使い魔なのは間違いないけど、魔獣はそう簡単に従えられるはずが…それに、なぜこうもアタシと渡り合えている…!)」
「アンタは、アンタは一体何者なの!答えなさい、カテラ!」
「……俺に隠された正体なんてないさ、かつての勇者パーティーのサブアタッカーであり……今はただの咎人だ」
「ふっ、そう!」
次の瞬間、リナウスがカテラの身体中を斬り裂く
「(くっ!速い!本気で殺る気か?!)」
「麒麟」が割って入り、再び二人と距離を取らせる
「(『麒麟』……俺の契約した魔獣、雷の力を操り…別名『雷獣』とも呼ばれている…)」
「(これは強力だが故に周りにいる人達も傷つけてしまう。それに──)」
「ふふっ…だがまさかアンタが魔獣を使うなんてね!分かっているの?魔獣の力は魔王の力の一部。魔王をあれほど憎んでいたアンタが使うなんて…まさに皮肉よね」
「(魔王の力……)」
「(確かにリナウスの言っていることは正しい。俺は憎んでいる相手の力を使っている。だが、今は関係ないことだ。そう、何も関係ない……)」
「(今ある問題は、リナウスが俺の妹を殺したという事だ…それと魔獣は何の関係もない──」
カテラは目を瞑り、必死に首を振る
「(───はぁ…やめろ!いい加減目をそらすのは……もう終わりにするって決めただろ!)」
「どうしたの、黙り込んで……なにも言い返せない?」
「いや、俺はただ……憎いんだ、自分が憎い……」
「どういう意味?」
「勇姿パーティーを追放されて、感情を制御できなくなって…人を殺して、民衆から批判され…守ってきた妹を殺され、そして── 憎んでいた相手の力を使ってきた……」
「全部俺が悪い、俺の実力不足だ。俺の責任だ。でも…ずっと罪の意識から目を背けてきて……だけど、もう目を背けることはできない……俺の心が、もう見逃してくれないんだ……」
「リナウス、ここは互いに退こう。俺たちがこうしている間にも魔王軍は進軍している……より多くの被害者が出るかもしれないんだ。俺に非があったのは認める…だから──」
「被害者が出る?だからなに?」
リナウスは「そんな事どうでも良い」と思っているかのよう表情をして、呆れたかのような声色でカテラに話しかける
「はっ…?」
カテラは再び憤怒を露わにする
「あのね、私達の目標は魔王討伐!多少の犠牲者が出るのは仕方ないでしょ?」
「お前……ふざけているのか!?」
「一人も犠牲者を出さないなんて無理無理、それくらい考えたら分かるでしょ?」
カテラと「麒麟」に雷が纏い出す
「なに?そんなに怒って…」
次の瞬間リナウスにカテラと「麒麟」か接近する
「そういう話じゃないだろ!」
カテラとリナウスの魔剣がぶつかり合う、カテラと「麒麟」の猛攻を受け流しながらリナウスは後退する
「あのね…言っとくけど、私は歴代最強の勇者なのよ!!」
リナウスは魔剣で横薙ぎの斬撃を飛ばし、カテラと「麒麟」を吹き飛ばす
「ぐはっ!」
「国王様は言ってくれたもの、アタシは歴代勇者パーティーの中で最も優秀だって……そんな私に、アンタなんかが勝てるわけないでしょう!」
「最も……優秀?お前が──ははっ…」
カテラは静かに冷笑しながら立ち上がる
「何がおかしい!」
「(俺は見てきた、彼の勇姿を………6代目勇者パーティー・リーダー、『ヘルガー・レイン』。彼に憧れて…俺はサブアタッカーになったんだ。だから断言できる───)」
「お前は勇者パーティーで最も優秀なんかじゃない…!お前みたいなクズが、二度とリーダーを名乗るな!」
「アンタがなんと言おうと、大衆が認めれば真実なのよ!」
「彼を侮辱したことを……『彼岸」で後悔させてやる』




