第二話:「恨み合い」
俺、カテラ・リバーには妹がいる、だが彼女は魔王の呪いにかかっている。魔王の呪いは徐々に身体を魔物と類するものへと変貌させてしまう。
この呪いを解呪する手段はたった一つ、魔王の死…いわば討伐のみであった。俺が勇者パーティーに入った理由の一つがこれだ。妹の呪いを解呪するために、そして…もう一つは幼少期に憧れ、影響された6代目勇者パーティーの栄光だ。
現在の勇者パーティーは7代目、単純な戦闘力なら今の代が最も強力だとは思うが…大いなる戦果を残したのは6代目、俺がサブアタッカーになった理由にも多少関係があるだろう…6代目勇者パーティーリーダー、彼の勇姿を見届けてきた幼少期の俺は、彼の純粋な眼差しと魔王への敵意に魅了されていた… いつの日の凱旋、6代目勇者パーティーは魔王の直属の部下…マキャリアットを討伐した。報告はまたたく間に王国中に拡散した。
その件から勇者パーティーリーダーの名は多くの国民に知れ渡ることになった、しかし彼は次の日に…謎の死を迎えた。後に判明したことだが彼はマキャリアットの死の間際に魔王の呪いを受けていたのだ…それは俺の妹と物とは大きく異なり即効性があり一夜にして彼の身体を悪しき魔力で包み込んだ。
「妹の解呪、憧れの彼の敵討ち。俺にはいくつか魔王を討伐しなければならない理由がある。でも…こんな事態になってしまった以上…そう上手くもいかないかもしれないな…」
「お兄ちゃん…こんな所にいたの?」
車椅子に乗った少女がカテラの前に現れる
「ゼアノ!」
そう、彼女こそが俺の妹…名をゼアノと言う。彼女は呪いの影響を受けにくい体質のようで呪いにかかってから10年近く経ってもまだほとんど身体に害を及ぼしていない
しかし完全に影響を受けないわけでもない…現にこうして車椅子生活を送る羽目になっている、だがこれは魔王を討伐すれば治る……一日でも早く討伐しなければ… まぁそんな事を考えながら勇者パーティーに入って早半年…未だに魔王討伐を成し遂げられていない……だが必ず俺の代で倒す、もうこれ以上苦しむ人を増やす訳にはいかない
一方その頃、勇者パーティー・タンク「ザイカ」
「きゃぁぁぁ!」
魔物に襲われている少女が悲鳴を上げる
「やめろ!」
拳で魔物を殴り飛ばす
「もう大丈夫だ、怖かったな」
「ありがとう…勇者パーティーのお兄さん!」
「ふぅ… (カテラが追放されてから一週間。一人、もしくはサポーターのエルナと共に任務に出ることが増えた。だが依然として魔王軍の進軍は止まらない、ったく、一体どう落とし前つけるつもりなんだ…リナウス)」
「あの、ザイカさん」
「どうかしたか?エルナ」
「私達…これから大丈夫なのでしょうか?カテラさんが追放されてから明らかにパーティー全体の雰囲気が悪くなってます…」
「言いたいことは分かるよ、僕も心配していることは沢山ある。でもまずは、目の前にいる人達を助けることが最優先だ。僕は、たとえ一人になったとしても…魔王を倒すつもりさ」
「あまり一人で背負いすぎないでくださいね…ザイカさんには何度も私達の命を救ってくれました……私もいつか、恩返ししたいです!」
「ははっ…その気持ちだけで嬉しいよ。それに、君には毎回バフを貰ってるから、その度に恩返しされているようなものさ」
「…ひとまず僕は、リナウスに話をしてくる……たとえ何があろうとも、僕たちの目的は魔王討伐。それが最優先だって」
「ザイカさん…」 「つまらない争いの火種は、僕が止める。面倒事は任せてよ、君には辛い思いは絶対にさせないから」
カテラに視点が戻る──
「お兄ちゃん…最近色々あったみたいだよね…」
「っ…」
色々あったのは確かだが、妹にこれ以上心配をかけるわけにはいかない……どうにか理由をつけないと───
「大丈夫、俺がどれだけ罪を犯しても…お前が幸せになれば──」
「そんなの許さないっ…」
「えっ…」
「もし私だけ幸せになっても……お兄ちゃんがそばにいてくれなかったら…私は全く嬉しくないよ…」
「っ…そうか、悪かった……」
俺は全く気づいていなかった、彼女にとって俺がそこまで重要な存在であったということを
「だけど、しばらくはそばにいてやれない……俺は今すぐにでも魔王を討伐しにいく」
「でも…今まで7代に渡って勇者パーティーは続いてきたけど…誰一人として魔王に辿り着いた人はいなかったんだよ……別にお兄ちゃんを卑下しているわけじゃないけど…本当に一人で勝てるの?」
「大丈夫…とは確信持っては言えないけど、意思だけは本物た。だからもう少しだけ待っていてくれ」
「うん…分かったよ。お兄ちゃん」
彼女はほんの少し頬を赤らめながら、うなずいた。そして彼女を寝付かせ、俺もベッドと抱き合った。 だが……次の日、目が覚めた時には── 「ワァァァァアアァァ!!!」
妹は見るに堪えない化け物へと変貌していた、病状が急激に悪化したらしい。詳しい原因は分からないが…ひとまず抑えつけなければ! 妹はどんどん凶暴になっていく、やがて部屋の窓を破られ外に出ていた
「落ち着け!ゼアノ!頼むから落ち着いてくれ!!」
次の瞬間、変貌した彼女の首が飛んだ。視界は彼女の血で覆い尽くされ、何が起こったのか理解デカなかった……
「あれ、アンタこんなところにいたの?」
目の前には俺を勇者パーティーから追放した女、リナウスが立っていた。ゼアノの首を飛ばしたのも彼女だと瞬時に理解した
「お前……お前!何をしたか分かっているのか!」
「アンタが抱きかかえていた奴は、魔物とほぼ同じ気配を感じた…だから討ったの。そんな事も分からなかった?」
彼女が魔物になっているのは分かっていた、だが魔王を倒せばまだ治る可能性もあった……だから俺は諦めずに彼女を抑え込もうとしたのに、この女は───
「リナウス!もう躊躇いは必要無い……ここで、お前を殺す…」
「なに怒ってんの?それに、アンタ如きがアタシを殺れると本気で思ってんの?」
カテラは異空から漆黒の魔剣を取り出す
「お前が俺に何をしたのか、その身体に刻んでやる」




