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武器は 女 なのさ 21-6

 女子衆は小木江城の城内に雪崩れ込むと足軽衆に熱烈な歓迎を受けたのである。

 城内の足軽たちは裸の女子に、女子は城中に入れた事に大喜びである。

 ただ女子の顔は全員これから始まる地獄を予想して引きつっていたが足軽は寒さと恥ずかしさのためと軽く考えていたのである。


 女子たちは各自数人毎に 倒しやすそうな 織田の足軽に抱き付いたのである。


 お菊は大将格を狙ったのである。おいちの依頼通りだが部隊の指揮を乱すためである。

(あたしは地獄に落ちるよ!)

 お菊は自分を恨んだのである。

(あの人に!)

 お菊は中年の温厚そうな大将格を見つけると駆け寄ったのである。

「ありがとうございます!」

「ははは!恥ずかしいよ!俺の娘だってそんな事しないのに。着物を秋姫様からもらって着るよう」

 男は恥ずかしそうな顔で逃げようとした。

(娘さんがいるのか!しまった!)

 お菊は躊躇したがおいちをちらりと見るとおいちは 早く殺るよう 目で訴えていた。

 だがお菊はこの足軽大将に自分と同じ年程度の娘が居ると聞いて躊躇したのである。

「本当にありがとう!」

 それでも迷いを詠まれないようにお菊はこの男に抱き付いたのである。ただ心の底からこの男に感謝もしたのである。

「わ!やめなさい!」

 男は赤面して慌てていたが。


 他の女子もお菊やおいちを真似て同じように

「お侍さんありがとう!」

「寒かった!助かった!」

 目を付けた男たちに抱き付いたのである。

 

「兄上(織田信長)に何て言い訳しようかな?」

 秀成は男との女の変な光景を見ながら苦笑いしてたが

「良いんじゃないですか?みんな喜んでるし。婆や!着物を用意してあげてよ!こら!小吉(小姓)!にやけてないで火を焚きなって!女子もいつまでも裸だと風邪ひくってね。でも若様の 嬉しそうなにやけ顔 は初めて見たかな?」

 秋姫は命を飛ばしながら秀成をからかったのである。秀成は苦笑いしていた。


 お菊だが躊躇していたが時間が無いのを悟りついに決心したのである。

「でも、こめんなさい!本当にごめんなさい!」

 お菊は泣きながらこの男に詫びたのである。

「は?どうした?」

 男は急に泣きだしたお菊に唖然としていたがお菊は躊躇せずこの男の脇差を奪うと首元を刺して倒したのである。そしてそのままこの男の十文字槍を奪うと唖然とする周辺の足軽にも襲い掛かって倒したのである。


「ほんまにゴメンや!許してや!」

「ごめんなさい!」

 おいち、小雀、他の女子らもお菊のように集団で突如門番たちの脇差を奪って刺し倒したのである。

 小雀が外に出て合図を送ると

「よし!突っ込め!」

 木曽川に潜んでいた小次郎たち男子衆も小木江城内に雪崩れ込んだのである。


「え?」

「なんだ?ぐは!」

 織田の足軽たちも抱き付いて来たと思った裸の女たちに突然襲われて大混乱に陥っていた。そして止めを差すように裸の男たちが槍と太刀を持って大挙乱入して来たのである。

 

「何の騒ぎだ?」

 信広らも最初は何事か分からなかったが裸の男たちに味方が襲われてるのを見てようやく悟ったのである。

「謀られた!御殿で迎え撃つ!みな集まれ!」

「盾を用意!鉄砲隊集まれ!足軽衆!前に出ろ!時間を稼げ!」

 信広と信直が大声で命を飛ばしたのである。

「そんなバカな!」

 秀成は腰を抜かしそうになったが。

「婆や!小吉!弾込めを頼むよ!味方!早くしなって!」

 秀成の横に居た秋姫は冷静に対応すると鉄砲を構えたのである。そして婆やや小姓衆に弾込めをさせると正確に射撃を始めたのである。


「お菊!生きてたな!大事な薙刀だ!」

「ありがとう!」

 小次郎と合流したお菊は愛用の薙刀を受け取った。

「俺らが御殿に突っ込む!横から支援してくれ!」

「分かった!七ッ童子も手伝って!」

 小次郎らは盾を使って真正面から、お菊らと七ッ童子は横から足軽を排除しながら進んだのである。

 

「雑賀衆!奪った鉄砲で支援や!味方に当てたらあかんで!」

 おいちの命が届く前に奪った鉄砲で雑賀衆も射撃を始めていた。両者の鉄砲の弾が飛び交う中での願証寺突撃隊と小木江城の守備隊の接近戦も始まったが不意討ちされた小木江城の守備隊は押されていたのである。


「ぐ!しまった!」

 まず織田信直が鉄砲で撃たれて倒されると

「後退を!後方の門から逃げれます!」

「逃げろ!私が抑える!」

 小姓衆や信広が秀成に必死に脱出を勧めたが

「このような失態を!私は兄上になんと言って詫びたら!私とて織田家の男だ!無駄死にはしない!1人でも地獄に道連れにしてやる!」

 秀成は血が上ってしまって退去を拒否したのである。しかしこのおかげで小木江城の守備隊は一瞬持ち直したのである。 


「破廉恥なんだよ!女の裸 を武器なんざ!」

 秋姫だが味方の腕利きの鉄砲足軽と願証寺の兵を次々と撃ち抜いたのである。願証寺だが味方が次々と撃たれて倒れると混乱し出したのである。

「やべえ!」

「あの姫様を止めろ!盾だ!盾!突撃!」

 願証寺の兵は慌てていた。 


「畜生!まずい!」

 小次郎は引いてたが

「付いて来いや!うおお!」

 三井寺坊主や坂井弁慶らが味方を盾に突撃すると御殿の前で激戦になったが秋姫はその隙から冷静に願証寺の兵を狙い撃っていた。

 三井寺坊主は肩を撃たれたがそれでも奮戦し味方と織田信成を刺し倒したのである。ただ坂井弁慶は左腕を撃たれ負傷し小次郎らも押し掛けたが織田信広の配下相手に苦戦していた。


 お菊と七ッ童子だが横からようやく小木江城の守備隊を突破して御殿に近寄り、一気に押し入ったのである。

 ただお菊は焦ってしまったのである。秋姫のすぐ横に出てしまうと秋姫は瞬時に銃口をお菊に向けたのである。

「う!しまった!」

 お菊は覚悟した。

「死にな!」

 秋姫は鉄砲の引金を引いたのである。

 しかし秋姫は 運 が不足してた。

「何!ち!」

 鉄砲が突如壊れて発射できなかったのである。

「ごめんなさい!」

 お菊は一気に秋姫に薙刀で突っ込んだが

「なめるな!」

 秋姫は鉄砲でお菊の一撃を防ぎ鉄砲を投げ付けながら捨てると太刀を抜いたのである。

「だあ!」

 秋姫は七ッ童子の但中を負傷させると

「若様!持たない!後退を!」

 秋姫は秀成の元に移動し再度後退を進めたのである。

「無念!すまない!」

 ようやく秀成は後退しようとしたが既に遅かったのである。

 後退しようとした信広、秀成、秋姫の前に秀成の小姓衆や婆やらを倒したお菊や七ッ童子が再度、立ち塞がったのである。

「お前はこの前の!そうかい!ここの下調べしてたのかい!子持ちに見えないと思ったけどさ。まんまと騙されたよ!」

 秋姫はようやくお菊を思い出したのである。

「あなたの恩を仇で返してごめんなさい!」

 お菊は秋姫に詫びたが

「戦場だからね。気にしなくて良いって。まずは小吉や婆やの仇だよ。死ね!」

 秋姫はそう言うと猛然とお菊に斬り込んで来たのである。

「早い!」

 お菊は慌てて薙刀で防御したが押し返されたのである。小雀も薙刀の柄を両断され慌てて下がった。願証寺の兵が2人が秋姫に挑んだが呆気なく斬り倒されたのである」。

「強い!抑えられるか!」

 お菊は顔を引きつらせて一度下がって再度体制を整えたが

「若様!今です!」

 秋姫が秀成と願証寺の兵が崩れた隙を走り抜こうとしたその時であった。鉄砲の音がすぐ近くですると秀成の左胸を弾が貫通し秀成は無言で膝から崩れ倒れたのである。

「若様!くう!破廉恥で下衆なお前らは地獄に落ちろ!」

 秀成が倒れるのを見ると秋姫は鬼の形相でお菊らに突っ込んで来たのである。

 願証寺の僧兵がひとり応戦善戦したが秋姫に腹を刺されて息絶えたのである。しかし腹に突き刺さった太刀が抜けるのが一瞬遅かったのである。

「ごめんなさい!あたしは死にたくない!」

 お菊は泣き叫ぶとすごい勢いで秋姫に突っ込み薙刀を彼女の腹に突き刺したのである。

「あ!」

 秋姫は短く発し力を失うとお菊に寄り掛かったがそれでも無意識にお菊の脇差を奪おうとする仕草をしたがお菊は丸越で裸であったが。

「お前ら 地獄に落ちろ!」

 秋姫は恨めしく言ったが

「うん。破廉恥で下衆なあたしは地獄に落ちる」

 お菊は寄り掛かった秋姫を抱き泣きながら秋姫に再度詫びたのである。

「う!乱世だからか! 若様 申し訳ありません!」

 秋姫も泣くお菊を見て悟ったのか諦めたのか最後は秀成の遺骸に手を延ばそうとしながら力尽きたのである。

 最後まで抵抗した信広も最期は多勢に無勢で倒れたのである。


 生き残った小木江城の守備隊は慌てて援軍を呼びに城外に逃げて行ったのである。

 戦が終わり静かになるとお菊は秋姫と秀成の遺骸を並べて手を組ませたのである。



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