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日記⑤ 22日目〜25日目

【22日目】

 悲報と言わざるを得ない。

 西の大陸の「ハヴァ・フィールド」にて、我が軍が壊滅した。人類どもは「核分裂兵器」を使用したらしい。

 それにしても、フィールド方面軍ごと殲滅してしまうとは、やはりあの兵器は恐ろしい。「原子核分裂反応」については1000年も前に我々の種族がその破壊力に気付いていたものの、文明や生態系、あるいは本星のアニマを破壊する恐れがあるとして研究自体を放棄した悪魔の産物だ。

 それを量産していることも驚きだが、まさか異星人を排除するためとはいえ、自らの土地に放射能を降らすなど、恐るべき覚悟と執念だ。やはり人類は「アニマ」のことを何も理解していない。無知ほど恐ろしいものはないというのに…。

 ゼダ・フィールドはすでに制空権を確保しているが、本部は早々と対空迎撃網の強化に乗り出している。自分たちの身が危なくなると見るや、たちまち行動が早くなるのも、お偉方の愛すべき点だ。


【23日目】

 フィールド本部から指令が来た。「前線各隊においても、核を搭載した敵の誘導弾に対応するため、生体兵器に対空アタッチメントを装備するように」とのお達しだ。

 我々は既に、第2小隊が爆撃をもろに受けた経験から対空兵装を装備済みであったが、他の部隊は制空権への信頼から、そうした武装は手薄だったらしい。本部からは「危機管理能力の高さ」を称賛されたが、素直には喜べない。味方の制空権下で爆撃を受けるなどということは、本来あってはならない失態なのだ。

 思い出すとまたアニマがショートしそうなので、ここらで寝ることにする。


【24日目】

 2日前に引き続き、今度は大陸南部で核が炸裂したようだ。核攻撃を受けた“ナーガル・フィールド”は、テラ侵攻軍の戦域の中でもそれほど重要な方面軍ではなかった。それゆえ対空兵器の配備が行き届かぬまま、彼らは核の炎に溶けて消えたのだ。

 やはりあの武器は脅威だ。生態系を汚染し、星のアニマを傷つける。我々の祖先が母星を守るために核を放棄したという崇高な歴史を、奴ら人類が理解することは永遠にないだろう。

 無毛の猿どもは「死なば諸共」の精神で我々の戦力を削ろうとする。全く合理性に欠ける選択だ。人類は未開の種族である。故に奴らの生息域はこの星にしか存在しない。にも関わらず、奴らは唯一の生存圏を環境汚染してまで敵を葬ろうとしている。人類は進化の過程で自らの体毛のみならず、絶滅の恐怖心さえ失ったというのか?それともその恐怖心こそが彼らの生存本能を掻き立て、あくなき闘争心となって我々に牙を向いたのか。いずれにせよ、我々に対する攻撃性が、生物としての本能を上回っているのは事実だ。

 だとすれば、このテラという惑星には恐るべきアニマが眠っている。


【25日目】

 ハヴァ・フィールドが壊滅して3日。そこからほど近い我々ゼダ・フィールドに対し応援要請がかかった。“ハヴァ”はテラ侵攻軍の中でも重要な戦域であり、そこに置かれた方面軍もかなり大規模なものだった。それが一夜にして壊滅し、さらにはそこからほど近いナーガル・フィールドまで核にやられたとなると、西の大陸における我が方の劣勢は免れない。

 統合司令部は、ゼダ・フィールド方面軍から6個師団を捻出し、西の大陸へ差し向けた。“ゼダ”近傍の半島部に新たなフィールドを置き、そこから西の大陸へ向けて再侵攻を行う。

 しかし我々からすればとばっちりだ。何せ14個師団で構成されるゼダ方面軍の内、6個もの師団が別の戦線へ移動したのだ。その分の仕事が我々に回されるのはもはや必定である。

 しかも敵の抵抗は以前にも増して激化している。

 なのにフィールド本部は更なる攻勢計画の実施に踏み切るつもりだ。この戦力不足の最中に勘弁して欲しい。

「ゼダ・フィールドの精鋭たる諸君の活躍を期待する」。今朝の訓示を、直属の師団長はそう締め括った。

 「人手不足」と書いて「少数精鋭」と読む。これはいつの世も変わらないらしい。

次回


 偶然のひらめきで強敵を撃破し、小隊長たちの結束に胸を打たれたのも束の間。

 「手柄を立てると、さらに過酷な仕事を押し付けられる」という激務のサイクルが彼らを襲う!

 人類の意外な一面に感心しつつも、中隊長はまたまた「貧乏くじ」を引かされることに…

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