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日記② 5日目〜11日目

【5日目】

 朝から憂鬱だ。あの中隊長め、我々に面倒な仕事を押し付けることができて内心ほくそ笑んでいるに違いない。

 いきなりの対ゲリラ戦で兵たちも不安を感じていることだろう。彼らを勇気づけるためか、フラー小隊長がジョークを飛ばしているのを耳にした。

「知ってるか?人類どもは、この星に暮らす“猿”という生き物の一種らしい。奴らは猿から進化する過程で知能を発達させたが、同時に体毛をほとんど失った。なぜか分かるか?仕事のストレスでハゲちまったからさ」

 兵士たちはフラーの言葉に和気あいあいと笑い、また勇気づけられている。しかし彼らの中隊長が今まさにストレスに晒されていることを彼らは知らない。兵器の申請ミスに今回の余計な対ゲリラ戦。このままでは本当にハゲそうだ。

 その隣で、シシンの第4小隊は、私が命じた武器の整備を延々と繰り返していた。彼の完璧主義にも困ったものだ。整備が大事なのはわかるが、小隊長たるもの、ほどほどで切り上げる潔さも持ち合わせていなければならない。

 いずれにせよ仕事は山積みだ。

 

【6日目】

 山間部への夜間攻撃を実施。中腹付近で敵との遭遇戦が勃発。

 新型生体兵器の性能は良好。強力な脚で山岳路を踏破し、硬い皮膚で敵の銃弾を弾き返している。兵たちのアニマとの相性も良いらしい。

 だがやはり絶対数が足りない。本部に依頼した残り27体も到着までは時間がかかりそうだ。ここはじっくり攻めたいが、本部からは攻略を急ぐよう打診あり。

 またストレスでアニマが点滅している。せっかくの奇襲攻撃なのに、これではゲリラに見つかってしまうぞ。


【10日目】

 戦闘の結果、生体兵器を6体喪失。死傷者150名あまり。だがこれで、西北山間部を制圧。

 しかし、当初予定していた目標地域の攻略は遅々として進んでいない。

 当然だ。なにせこの対ゲリラ戦に中隊戦力の半分を注ぎ込んだのだから!

 ゼダ・フィールド本部からは「作戦遅延の理由を説明せよ」とのテレパシーが延々と飛ばされてくる。良い加減頭部のアニマがパンクしそうなので通信を切断したい。

 しかし、自分で約束してきたこととはいえ、やはりユノの活躍には目を見張る。誰もが忌避する貧乏くじの戦場で、たったこれだけの被害に抑えることができたのは、ひとえに彼女の率いる小隊が敵を翻弄し続けたからだろう。戦場を俯瞰する視野の広さと、ここぞという時に戦力を投入する決断力にはまったく驚かされるばかりだ。

 とはいえ今回の戦闘は本来ならば不必要なもの。トゥランメとユノにはしっかりと言い含めねばなるまい。


【11日目】

 第1、第4小隊が対ゲリラ戦に苦心していたのと同じ頃、トゥランメとフラー指揮の第2、第3小隊は、我々の本来の目標地点に向かっていた。

 ところが、事前の偵察では発見できなかった敵の機動兵器を複数体確認。トゥランメの中隊はその強襲を受ける。

 彼は果敢にも手持ちの生体兵器群を用いて反撃。しかし、分厚い装甲と砲弾によって、我が方の生体兵器が大炎上。あまりの熱さに参ったこちらの兵器たちが右往左往逃げ回ったことで、敵も味方も炎に包まれた。

 トゥランメは分が悪いと見るや即時撤退を決意(この判断は良しとしよう)。だが問題なのは、第2小隊長のフラーに撤退の旨を共有していなかったことだ。結果、第2小隊は撤退が遅れ、その隙に敵の爆撃を受けて敗走した。

 思い返せば私は2日目の日記で、トゥランメについてこう記した。「彼のやる気が部隊に火をつけてくれることを期待する」。まさか本当に火をつけるとは思わなかった。

次回


あまりポンコツ部隊っぷりに、とうとう上層部から“視察”の魔の手が…。さらにはエースのユノが他部署の案件(戦果)を勝手に横取りして大炎上!?

鳴り止まないクレーム通信、不機嫌なユノ。

中隊長の謝罪行脚は終わらない。



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