表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雷撃のイモータル  作者: 白沢 服部
プロローグとサツジン
7/10

第七話

 

 『地獄の番犬 ケルベロス』


 そいつは俺のことを六つある目で確認するとのっしりとその巨体を揺らして近づいてくる。

 

 三つ首の悪魔が存在するとは思ってもいなかった。

 

 「………」

 

 奴と俺との距離は十メートル弱、そんな絶体絶命に俺は無言で打開策を考えていた。


  とりあえず死にたくは無いな。

 

 死なないが第一目標。安全第一で行くべきだろう。

 

 だが、左足が砕けている今の俺は走って逃げることができない。

 

 「どうしようかなぁ」

 

 半ばあきらめたようにつぶやくが、実際は頭の中の脳細胞をフル稼働して打開策を練る。

 

 持ち物は、制服のポケットにシャーペン二本。ハンカチが一個。後は………お、ライターがある。

 

 ハンカチは役に立たないだろうなぁ。

 

 「そろそろ、開戦か」

 

 俺と奴との間は五メートル弱。

 

 四メートル。取りあえず回避のために右足に力を入れる。

 

 三メートル。奴が力を入れたのか黒色の右足が膨れ上がる。

 

 バンッ!

 

 筋肉がはじける。それと同時に俺も右足と全身のばねを使って後ろに飛ぶ。

 

 「く、っはぁ!」

 

 強引に後ろに飛んだことにより左足を地面とぶつける。

 

 ボッガァ!!! 

 

 嫌な音を立てて地面に穴が開く。

 

 「冗談きついぜ」

 

 奴が打ちつけた右足により地面が三メートルほどえぐれる。

 

 「Gaooooooooooooooouuuuuuuuuuuuuuuuuuuun!!!」

 

 外したことにいらついたのか奴の首の一つが吠える。

 

 ビリビリと空気が振動する。そして奴が次の動作に移る。

 

 「うっわぁ。これは異世界疑惑が濃厚になってきたなぁ」

 

 奴の首の二つ、右側と左側の奴が顔を上げその前方に青色のバレーボールより少し大きいくらいの球が形成される。

 それはまさしく、

 

 「………魔法」

 

 思わず見惚れる。

 

 三つ首の悪魔の形成する二つの青き炎の塊に。それは幻想的に美しい蒼色の球形。その雄々しく燃え上がる炎は俺の命を刈り取るために迫るだろう。

 だがしかし、その球形には何か吸い込まれるような何かがあり、それは俺をこの場から動かすことをためらわせる。

 

 暫くしてその球形は俺の命を刈り取るために発射される。

 

 迫る焔球。

 

 戻る俺の思考。

 

 死ぬ! 動け! 死にたくない!

 

 「なんで動かないんだよぉ!!!」

 

 後、三メートル、二メートル、一メートル。

 

 死ぬ! やだ! 動け!

 

 「動けぇえええ!!」

 

 残り30㎝。

 

 目の前には焔球。

 

 ヒュン。

 

 音を立てて俺の横を通り過ぎる焔球。

 

 「はぁ、はぁ…… 死ぬかと思った」

 

 焔球を何とか避け、一息つく。興味本位か何か知らないが俺は無意識に後ろを振り返る。

 

 そして後悔した。

 

 「んな馬鹿な!」

 

 思わず荒げる、声。

 

 だがそれもいたしかたないことだ。無かったのだ。


 彼の後ろ数メートルの地面が無くなっていたのだ。比喩にあらず訂正はなし、確かにないのである。

 

 「マジかよ」

 

 この時の数舜の間、俺は思考が完全に飛んでいた。

 

 「GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAOOOOOOOOOOOOO!!!」

 

 ビリビリビリ!!!

 

 空気の振動により俺の意識が引き戻される。

 

 「やっべ」

 

 自分の失態に気が付きあわててケルベロスに思考を集中する。

 

 「?」

 

 何かがおかしい、やつの三つ首の六つの目は全てが俺をとらえてはいないのである。

 

 「なんだ?」

 

 気になりケルベロスに集中しながらもケルベロスの向いている方向を追う。

 

 「………」


 思わず言葉を失う。今の俺の顔はおそらく俺の人生の中で最もマヌケな顔をしていたに違いない。具体的に言うとネットゲームの大事なアイテムを間違えて削除してしまった時と同じくらい間抜けな顔をしていることだろう。


 そこには、ケルベロスの視線の先には、ちっこいドラゴンがいたのだ。

 

 「ぐぁ」

 

 視線を向けられたちっこいドラゴン、ちびドラは間抜けな鳴き声を上げた。

 

 「………魔物の次はドラゴンか」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ