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雷撃のイモータル  作者: 白沢 服部
プロローグとサツジン
3/10

第三話

 

 

 とりあえず俺達はこれからのことを考えようと円を作って座り話し合いをしだしたのだが。

 

 「だから、ここは異世界なのよ!」

 

 静はこれの一点張り。

 

 「そんなのありえるわけ無いだろ!」

 

 それを頭の悪そうな男が否定。

 

 「じゃあ、ここはどこなんだよ!」

 

 そして頭の悪そうな不良Bがこういうと。


 「だからここは異世界なのよ!」

 

 こうなる、と言うまったく持って不毛な話し合いが続いている。

 

 「波崎さーん、先生おきた?」

 

 そんな不毛な話し合いを続けている三人をほおっておいて俺は草原にごろごろ、波崎さんは先生を起こそうとさっきから三人くらいと四苦八苦している。そして残りは傍観者。

 

 「意味ねーこの話し合い」

 

 状態である。まあ、この無駄な話し合いも誰かが痺れを切らしてそろそろ終わるであろう。それで、たぶんおはちが回ってくるのが。

 

 「シューもわかるでしょここは異世界なのよ! あんたネット小説読んでないの!」

 

 この俺だ。

 

 「黙れキチガイ」

 

 取り合えず妄想へ気がある静を黙らせる。

 

 「な、き、キチガイですって!」

 

 怒鳴ってくるが無視。

 

 「今はそんなことよりこれからどうするか考えるのが先だろ」

 

 「そんなことって! 異世界なのよ! ファンタジーなのよ!」

 

 これだから常日頃から創作物の中にダイブしたいと思っている妄想ばかりしているオタクは………

 

 「はぁ、それは置いといてこれからどうするんだ?」

 

 「どうするってそりゃ、まず町を探さなくちゃ! それから冒険者ギルドにいって冒険者になって私達の冒険は始まるのよ、そしていろいろフラグとか立てちゃって………」

 

 一人妄想の世界にダイブしてしまった静だがあれは放って置いて大丈夫だろう。

 あんな彼女も一昔――具体的には小学6年生くらい――までは普通に美少女やってたのにどこで道を間違えたんだか。今は残念美女通り越してただのキチガイだし。

 

 「僕はとりあえず安全を確保したいかな」

 

 妄想トリップしている静をよそに控えめな意見をくれたのはおとなしそうな印象を受ける男子だった。

 

 「あ、僕の名前は太刀川たちかわ 虎太郎こたろうです。クラスはD組」

 

 付け足すように自己紹介してから微笑む虎太郎はそこらへんの女子、少なくとも妄想が膨らみすぎてトリップしている女子よりは女の子らしかった。

 

 「俺もそれに賛成だな」

 

 無遠慮な感じのする渋めの声でそういったのは俺から見て虎太郎とは逆方向、左側に座っている細身の男だった。

 黒色の髪を無造作に切っている線の細い整った顔の男。イケメンである、死ね。細身と言っても弱弱しい感じはせず細マッチョと言うやつに分類されるのであろう。

 

 「俺の名前は柳葉やなぎば こうだ。クラスはA」

 

 丁寧にイケメンは自己紹介までしやがった。虎太郎との違いは最後までポーカーフェイスだったことだろうか。

 

 「紅さんがそういうならあっしらも賛成です!」

 「あっしもでさぁ」

 

 頭の悪そうな不良が紅が言ったことを担ぎ上げる。しゃべり方もどっかの893見たいになっているしあいつらは紅の舎弟みたいなものなんだろう。

 紅も二人の態度にうんうんと満足げにうなずいているし。

 

 「僕もその意見に賛成かな」

 

 そういって話に参加してきたのは茶髪で糸目のやさしそうな印象を受ける男だった。

  

 「あ、僕はたちばな 京谷きょうやだ、よろしくね」

 

 その後数分間話し合っていたのだが半分以上が傍観を決め込んでいたのであまり有意義なものにはならなかった。

 

 「よし、じゃあ。とりあえずは安全の確保を最優先として雨風がしのげる休める場所を探そうか」

 

 最終的に会話を仕切っていた京谷がこれからの行動をまとめる。

 

 「じゃあ、効率重視で班行動にしようか」

 

 「ま、まってよ!」

 

 京谷の班行動にしようかと言う提案に意外な人物から待ったがかかる。京谷も彼から発言があるとは思っていなかったようで糸目を少し開いている。

 

 「どうしたんだい? 清水しみず君」

 

 清水しみず 秋吉あきよし、ある意味学年で有名人なこの男。その理由は彼の臆病さにある。血液検査のときに泣くのは当たり前、蚊が殺せない、ゴキブリを見ると泣き出す。修学旅行のとき夜トイレに一人で行けないからと同じ部屋のクラスメイトを起こすなどなどいろいろな噂を流されているかわいそうな男である。全部事実なので仕方ないと言えば仕方ないが。

 

 「こんなわけがわからないところで班分けしてもし危険な目にあったらどうするんだ!」

 

 みんなに注目されて緊張しているのか早口でまくし立てる。

 

 「あー、なるほどね」

 

 京谷も一理ある訴えに顎に手を当てて考え込んでいる。

 

 「えー、はやく休める場所探しましょうよー」

 

 考え込んでいる京谷に軽薄そうな声がかけられた。

  

 「あ、あーしは紫電しでん 愛華あいかよろしくぅ」

 

 声のほうに目を向けるとそこいたのは明らかに染めているのがわかる金髪をした女とその周りにいる女が二人だった。なぜか全員手鏡を覗き込みながらしきりに髪を整えている。

 

 「そ、そうだね。じゃあ安全マージンをとってここに残る人と探索に行く人たちに分けようか」


 どこまでも軽いのりに温厚そうな京谷も引きつった笑みを浮かべている。



 

  

 

 「じゃあ、俺達はあっちのほうを見てくるから」

 

 そういって待つグループと探索グループに9人、8人で分けた後探索を始める。

 待つグループは波崎さんと紫電、紫電の取り巻き二人、虎太郎、清水、睡眠先生いねむりおんな(まだおきない)と女子。女でと(虎太郎は女手に入れる)臆病者チキンの清水だけでは心もとないので京谷の提案により男を一人残すことに。

 

 「海斗、頼むよ」

 

 京谷が薄く笑って長身のイケメンの肩をたたく。彼の名前は確か臥待ふしまち 海斗かいとスポーツ万能、容姿端麗などの神がありえないほどの恩恵ギフトを授けた天才。だが学校にはあんまり来ない。

 

 探索グループは俺と京谷、紅に頭の悪そうな舎弟二人、静、それと名前を知らないおとなしそうな男子一人とさっきからガンを飛ばしてくる茶髪の女子。

 

  

 「じゃあ、雨風がしのげる場所を探すのと同時に一通りここがどんなところなのかと調べるってころで良いかな?」

 

 京谷が糸目の微笑を崩さずに探索班の人たちに聞いてくる。

 

 「雨風がしのげるって言うけどここ草原だよな、どうするんだ?」

 

 「だから探すんじゃないの?」

 

 俺が言った素朴な疑問に茶々が入る。むっとしてそちらのほうを見てみるとそこにいたのはガンとばしてきていた女子だった。

 

 「だからどこら辺探すかって聞こうとしたんじゃないか」

 

 「私達ここに来たの初めてだしわかるわけ無いじゃん」

 

 「言葉のあやだ、相談しようとしたんだ」

 

 「ふーん、語彙がとぼしいのね」

 

 ………なんだこのウザイ女は

 

 「まあまあ」

 

 なんだか険悪になりそうな雰囲気を京谷が納めてくれる。

 

 「てか、お前誰だよ」

 

 ちょっとイラついたので俺も怒気を含んだガンを飛ばしておく。ネット三昧でなまっている俺だがまったく運動してないわけではないので喧嘩も強いほうだと自負している。

 にらみつけると女はちょっとうれしそうな表情をした後無表情に戻る。変なやつだ。

 

 「私? 私は神無月かんなづき 弥生やよい。クラスはC組よ」

 

 そういって浅くお辞儀する、お辞儀したときセミロングの艶やかな茶髪がゆれて少し魅入ってしまうが飄々とした態度を崩さないのは少しむかついた。

 

 「あ、そうだちょうどいいしみんな自己紹介しようか!」

 

 本格的に険悪になりかけた空気を払拭しようと京谷が気を使う。 

 

 さっき自己紹介をしている紅と京谷、弥生以外の自己紹介をしてからようやく探索が始まった。

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